車庫入れやUターンで「あれ?」 乗った感覚よりも小まわりが利かないクルマ3台 (2/2ページ)

本格スポーツモデルならではの避けられない理由

 じつはGRヤリスにおいても、RCグレードに限ってはラリーなどのモータースポーツ参戦を考慮して強度を高めた操舵系となっており、それが最小回転半径を大きくしてしまっている。

 ジムニーとGRヤリス、いずれもハードコアな走行シチュエーションでのトラブルを防ぐために舵角が制限され、それが最小回転半径を小さくできない理由となっているというわけだ。

 それにしても、GRヤリスRCグレードの6.0mという最小回転半径は、ホンダのスポーツフラッグシップであるシビックタイプRの5.9mより大きい。ただし、シビックタイプRの最小回転半径も適正というわけではない。標準系シビックの最小回転半径が5.7mとなっているのに比べると、小まわりが利かないクルマになっている。

 シビックタイプRについては、フロントサスペンションが専用設計になっているのに加え、タイヤサイズが265/30ZR19(標準のシビックは235/40R18)と極太になっていることが舵角を稼ぎづらい理由といえる。タイヤが太くなっても同じような切れ角にするとボディとタイヤが干渉しがちで、どうしても舵角を抑えざるを得ないのだ。

 たとえば、ほとんど同じボディに見えるスズキの軽1BOXであるエブリイワゴン(乗用)とエブリイ(商用)の最小回転半径を比べてみると、前者が4.5mで後者は4.1mとなっている。

 この違いを生んでいる主な要因もタイヤサイズだ。エブリイワゴンが165/60R14を履いているのに対して、エブリイは145/80R12とかなり細い。細いタイヤのほうがボディと干渉しづらく、舵角を稼げることが、最小回転半径の差を生んでいると理解していいだろう。

 まとめると、舵角を稼げない理由は大きくふたつある。ひとつは、ステアリングやサスペンションの強度を確保するため。もうひとつはタイヤの太さとボディの関係によって物理的に舵角が制限されてしまうケースだ。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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