納期遅延におけるいい訳が今では通用しなくなっている
そして販売会社によっては、クラウンエステートの商談ができるユーザーを抽選で決めていた。販売店では以下のように説明した。
「クラウンエステートを購入したいお客様には、(2025年の)3月13日から16日までに来店していただき、商談申込書に記入をお願いした。その上で抽選を行って商談を実施した」
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商談できるユーザーを抽選で決める方法は、今までにもいくつかのメーカーが採用してきた。これらのうち、インターネットで申し込みを行って商談するユーザーを抽選で決める方式は、さまざまな混乱を招いている。インターネットの申し込みは気軽に行えるためだ。転売を目的に業者が申し込むケースも少なくなかった。
その点でクラウンエステートは、購入希望者が販売店に出向き、商談申込書に記入している。販売店に出向くと手間が掛かり、店舗のスタッフと話もする。購入の意思が曖昧なユーザーを省く効果が得られる。また中古車業者などがトヨタの販売店を訪れると、知り合いがいるかも知れず具合が悪い。その点でユーザーが来店して、商談申込書に記入する方式なら、ある程度は転売などの抑止効果が期待できるだろう。
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販売店によると「抽選で決めるのは、あくまでも商談の申し込みに限られる。その後の商談により、購入されなかったり、ディーラーローンの審査に通らないこともある。商談を開始したあとの流れは、通常と変わらない」という。
それにしても最近のクルマの売られ方は、メーカーを問わず良心的ではない。納期が著しく遅延して、受注を停止したり、仮に購入できても転売しない趣旨の誓約書にサインをさせられたりするからだ。
メーカーが商品を発売する以上、正確な需要を予測して、十分な生産を行うのは当然だ。そうなれば納期の遅延、受注の停止、転売や中古車価格の高騰なども生じない。数年前まではコロナ禍の影響で仕方のない面もあったが、今ではこのいい訳も通用しない。