マツダの赤の「カローラクロス」にトヨタの緑の「CX-50」が登場! 普通じゃあり得ない「ボディカラースワップ」が起こったワケ

この記事をまとめると

■ソウルレッドのトヨタ車とサイプレスのマツダ車が登場した

■アメリカ・アラバマ州にあるトヨタとマツダの合弁工場をアピールをするためのもの

■日本でまったく同じ企画を実現させるのは難しい

特別な塗装を施したカローラクロスとCX-50

 ボディカラーが「ソウルレッドクリスタル」のトヨタ車が登場した。そんなネットニュースを見て、「へぇ〜、そんなことをしちゃう人がいるんだ」と、どこかの修理工場の試み程度に受け止めた人がいるかもしれない。その上で、ソウルレッドの塗装は特別なので、普通の修理工場や一般ユーザーがやろうとしても「本物のソウルレッドにはならないんじゃないの?」という指摘が出てくるかもしれない。

 ところが、今回の話は正真正銘のソウルレッドクリスタルのトヨタ車が新車で販売されるというものだから、驚きである。しかも、トヨタ専用のグリーン系カラー「サイプレス」を採用したマツダ車もあるのだ。

 トヨタ車は「カローラクロス」で、マツダ車は「CX-50」。CX-50ということで気づく人もいると思うが、これはアメリカでの話だ。

 アメリカ南部・アラバマ州に新設したトヨタとマツダの合弁工場で、両者の連携を強調するための、ちょっと洒落たアイディアだといえる。

 そんなことができるなら、ぜひ日本でもやってほしいと思うユーザーがいるかもしれない。ソウルレッドクリスタルの「ランクル250」や、サイプラスの「ロードスター」という感じで。

 だが、国内の新車最終組み立てラインがあるマツダの製造拠点は広島県と山口県だけであり、トヨタとの協業は難しい。車体(プラットフォーム)やハイブリッドシステムを共通化するという協業に比べて、塗装工程を共有化するためには、新車最終組み立てラインの全体をトヨタとマツダで共有する必要があるからだ。

 とくにソウルレッドクリスタルは、塗装工程での特徴がある。筆者は以前、広島県のマツダ本社工場内でその工程を詳しく見たことがある。通常、報道陣には公開していない貴重な体験であった。工程の詳しい中身については非公開要件なので割愛するが、塗装工程についてもマツダのものづくりに対する強いこだわりを感じたことを思い出す。

 そのため、今回のボディカラーの相互連携を実現するためには、マツダとトヨタの塗装工程に対する考え方をゼロベースですりあわせる必要がある。そこまでのトヨタとマツダの深い関係性を、ボディカラーとして見える化することは、両社にとってじつに上手なマーケティング活動だといえる。

 日本のソウルレッドのファンのなかには今後、北米カローラクロスを日本に逆輸入するという人が出てくるのかもしれない。


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桃田健史 MOMOTA KENJI

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