免許取得者の3割がMT免許を選んでるしシビックRSも大人気! 自動車メーカーはぜひMT設定の見直しを (2/2ページ)

親和性の高いモデルの減少によりMTの設定も減った

 逆に以前はMTを設定したのにいまは廃止されたCX-3、CX-30、CX-5などは、いずれもSUVだから全高が1500mmを上まわる。低重心を生かして運転感覚を機敏に仕上げたクルマではない。MTとの親和性は高くない。

 カローラセダン/ツーリング/スポーツは、いずれも全高が1500mm以下だが、前述のとおりMTを廃止した。車種の性格がシビックやマツダ3ほどスポーティではないからだ。販売店では「カローラセダンは、5ナンバー車のカローラアクシオでなくても法人のお客さまが多い」と述べており、6速MTとの親和性は低い。そこでいまはATに統一された。

 ハイブリッドの増加もMTが減った理由だ。トヨタのTHS II、日産のe-POWER、ホンダのe:HEVなどは、いずれもドライバーがシフトレバーとクラッチペダルを操作するMTには機能が馴染まない。

 しかも2024年には、小型/普通乗用車に占める電動車(ハイブリッド+プラグインハイブリッド+電気自動車+燃料電池車)の販売比率が64%に達した。日産ノートのようにハイブリッドしか選べない車種もある。したがって多くの車種にMTを採用できない。

 1991年にAT限定の運転免許が創設され、これが定着したこともMTが減った理由だが、近年のAT限定の運転免許取得比率は70%少々だ。残りの30%弱はMTを運転できる。AT限定にしなかった理由として、トラックの運転など仕事上の都合も挙げられるが、それでもMTの運転は可能だ。いい換えれば、MTのニーズに対してスポーティで運転の楽しいMT車の供給量が大幅に減ったから、シビックRSに需要が集中してニュースになった。

 スバルWRX S4のトランスミッションは、すべてCVT(無段変速AT)だが、今後は6速MTを用意すると喜ばれる。東京オートサロン2025にコンセプトモデルが出展されたダイハツミライースGRスポーツの5速MT仕様なども、発売すると人気車になる。

 各メーカーともMTの設定を見直すべきだ。日本の自動車業界を活性化する手段のひとつになり得る。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
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13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
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