この記事をまとめると
■クルマの平均保有期間は7年ほどだ
■残価設定ローンの普及により買い替えのペースは短くなっている
■クルマの進化が目覚ましいので買い替えのタイミングは多様化しつつある
新車の買い替えはどのタイミングがベストか
日本の自動車市場において、クルマの保有期間が年々長期化している傾向が見られる。日本自動車工業会の調査によると、2023年度の乗用車の平均保有期間は7.2年であり、10年以上保有している車両が全体の2割強を占めている。この長期保有の傾向は、経済的な理由や車両の耐久性向上などが要因として考えられる。一方で、残価設定ローンの普及により、3年や5年といった比較的短期間での買い換えも一般的になってきている。このような状況下で、買い替えのタイミングは多くの自動車所有者にとって重要な課題だ。
●耐久性と経済性のせめぎ合い
クルマを長期間保有することには、いくつかのメリットがある。まず、初期投資の償却期間が長くなるため、年間あたりの減価償却費が低くなる。また、新車購入時に発生する諸費用や税金を長期間で分散できるため、短期間で買い換える場合に比べて経済的負担が軽減される。新車購入費を耐用年数で割る発想だ。たとえば新車価格+初期費用で500万円のクルマを20年乗れば、単純計算で年間25万円程度の負担で済む。しかしこの計算式には、メンテナンス費用の累積や燃費性能の陳腐化といった要素が考慮されていない。
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実際に20年乗り続けた事例を検証すると、とくに10年目を境に部品の劣化や故障リスクが高まり、予期せぬ出費が発生する可能性が高くなる。エンジンオーバーホールやサスペンションの総交換など大規模修理が重なれば、新品購入時の3分の1程度の出費が発生することも珍しくない。しかも、自動車税は13年超の普通車で約15%増、重量税にいたっては13年超の普通車で約40%、18年超では約50%増という経年重課の制度があり、年間の維持費は新車時より上昇する傾向にある。環境対応車の普及が進む現代において、旧式車両の環境負荷を無視することもできなくなってきた。
●「3年サイクル」の光と影
近年増加しているのが残価設定ローンを活用した短期買い換えだ。新車購入時に3年後の残存価値をあらかじめ設定し、そのぶんだけ支払額を減らす仕組みである。このような比較的短い期間での買い換えには、常に最新の安全技術や燃費性能を享受できるというメリットがある。とくに、近年急速に進化している電動化技術や運転支援システムの恩恵を受けやすくなる。また、新車保証期間内での買い換えとなるため、予期せぬ故障やトラブルのリスクが低く抑えられる。
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ただしこの手法には落とし穴が潜む。もっとも大きな問題は、頻繁な買い換えに伴う経済的負担である。新車購入時の諸費用や税金、そして車両価値の急激な減価償却が短期間に集中するため、総合的なコストが高くなる傾向がある。
また、設定残価が実際の中古相場を上まわった場合、差額を一括で支払わねばならないリスクを抱える。一般的に3年落ち車の平均価格は新車価格の約45%だが、残価設定ローンによっては50〜60%程度で契約されていることもある。EV(電気自動車)に至っては技術革新のスピードが速く、バッテリー性能の向上が旧型車の価値を急速に毀損させる危険性がある。