アマチュアにとってはプロから学ぶことも多いスーパー耐久シリーズ
一方、日本自動車学校、NATSのAドライバーとして72号車「OHLINS CIVIC NATS」でST-2クラスに参戦する金井亮忠選手もサラリーマンドライバーのひとり。
日本自動車学校、NATのAドライバーとして72号車「OHLINS CIVIC NATS」でST-2クラスに参戦する金井亮忠選手画像はこちら
「もともとはレーシングカートをやっていて、ヴィッツレースで4輪レースにデビューしました。その後、NATSの学生メカニックとして部活でレース活動を行っていたんですけど、レース経験もあって、ドライバーとしてもいい成績を残せたのでNATの専属ドライバーとしてレースに出場するようになりました。ちょうどNATSを卒業するタイミングで、NATSにモータースポーツ科ができたので、卒業後もNATSに残って講師としてレースに関わるようになりました。あくまでも講師として学生メカニックを教育することが僕の仕事です」と語るように、金井選手は日本自動車学校の講師で、スーパー耐久への参戦も授業としてかかわっている。
ちなみに日本自動車学校は、ヴィッツ、アルテッツァのワンメイクレースを経て、フォーミュラトヨタ、そして2020年よりスーパー耐久への参戦を開始しているが、やはりスーパー耐久はかなりハードで、金井選手は「距離が長いし、自分に合わせたセッティングではなく、ドライバーがクルマに合わせて走らないといけないので、ドライバーとしてはその辺あたりが大変です。講師としては初めてサーキットに来る学生たちに、メンテナンスからレース中のタイヤ交換などのピット作業まで教えないといけないので、そのあたりが大変です」とのことだ。
日本自動車学校、NATの72号車「OHLINS CIVIC NATS」画像はこちら
しかし、その一方でスーパー耐久には魅力があるようで、金井選手は「生徒たちは1年で成長していくし、卒業生の多くがレーシングチームにメカニックとして就職しているので、そういった姿を見ることは講師としてうれしいですよね。それに僕たちはイチからクルマを作って、セットアップしていくので、チームの力も上がっていく。その辺りがドライバーとしても楽しいですね」と説明した。
そのほか、シンリョウレーシングチームのAドライバーとして7号車「新菱オートDXL☆MART☆VARISエボ」でST-2クラスに挑む後藤比東至選手も編集プロダクションで働きながらレース活動を行っているアマチュアドライバー。
シンリョウレーシングチームのAドライバーとして7号車「新菱オートDXL☆MART☆VARISエボ」でST-2クラスに挑む後藤比東至選手画像はこちら
後藤選手はレース経験が豊富で、メディア対抗ロードスター4時間耐久レースをきっかけに、ヒストリックカーレースやヴィッツ、インテグラ、シビック、トヨタ86、ミニなどさまざまなワンメイクレースに参戦したほか、ジョイ耐やニュルブルクリンク24時間レースにもチャレンジ。スーパー耐久にも2013年から参戦しているが、やはり、スーパー耐久は特別なカテゴリーで、後藤選手は「レースではスキル、人とのつながり、活動予算が重要になってきますが、スーパー耐久はクルマを壊さずに速く走らないといけないし、活動予算もかなり大変です。レースをやるために徹夜で仕事をしながら頑張ってきましたが、体力的に厳しくなってきたので、いまは仕事を調整するようにしています。そういった意味では一緒に仕事をしている人の理解も必要になりますね」と苦労を語る。
その一方で、スーパー耐久は独自の魅力をもっているようで、「スーパー耐久は注目度が高くて、アマチュアでもプロと同じステージで戦える。アマチュア最高峰のレースカテゴリーとして、学ぶことも多いし、華やかでもありますからね。こういった部分はワンメイクレースにはないところだと思います。それにワンメイクはドライバーの戦いですけど、耐久レースはエンジニアがいて、メカニックがいて、スポンサーやレースクィーンもいてチーム全体で戦うので、そういったところも魅力ですね」と後藤選手は語ってくれた。
シンリョウレーシングチームの7号車「新菱オートDXL☆MART☆VARISエボ」画像はこちら
以上、ベテランドライバーを中心に紹介してきたが、スーパー耐久には若手のアマチュアドライバーもチャレンジしている。
なかでも、倶楽部MAZDA SPIRIT RACINGのCドライバーとして、120号車「倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」でST-5Rクラスに挑む加藤達彦選手は2025年の開幕戦でスーパー耐久にデビューしたルーキーだ。
倶楽部MAZDA SPIRIT RACINGのCドライバーとして120号車「倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」でST-5Rクラスに挑む加藤達彦選手画像はこちら
25歳の松田選手はレーシングカートを経て、FIAのグランツーリスモ選手権で活躍してきた異色のキャリアのもち主で、“バーチャルからリアルへの道”をテーマにマツダスピリットレーシングが主宰するeスポーツのチャレンジプログラムで優秀な成績を収めたことにより、マツダファン・エンデュランスの参戦権を獲得。同時に自身のロードスターでパーティレースにも参戦するなどリアルレーシングへ復帰した。
その結果、東日本シリーズで優勝したほか、2024年にはジャパンシリーズでタイトルを獲得。そして2025年、ついにスーパー耐久シリーズ参戦へのチャンスを勝ち取ったのである。
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「パーティレースと比べるとチームの規模が大きいので、コミュニケーションの重要性を実感しますね。あと、普段は会社員なので日程調整も大変です」と語る松田選手。さらに、「速いクルマへの譲り方やタイヤのマネジメントなど、まだまだ学ぶことが多いです」と語るように試行錯誤している。
このようにスーパー耐久シリーズに参戦するためには、いくつかハードルがあり、仕事とレースを両立するためには、さまざまな苦労があるようだが、それでもアマチュアドライバーとしては最高峰のツーリングカーレースで多くの魅力をもっているのである。