後輪1輪が操舵輪! リヤエンジンの前輪駆動! これで最高速190km/hも出る狂喜のイモムシ「ダイマクションカー」がヤバすぎる!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■バックミンスター・フラーが手がけたクルマがダイマクションカーだ

■1933年のシカゴ万博に出品された車両で190km/h出せるスペックをもつ3輪車だった

■デモ走行中に重大事故が発生し量産計画は幻となってしまった

万博に突如現れた「イモムシカー」の正体

 万国博覧会はいつの世にも話題となるネタが満載です。とりわけ20世紀の万博は各国から驚きのトピックスが寄せられ、それはもう世界中が盛り上がっていたのです。

 そんなビックリドッキリネタは山ほどありますが、1933年のシカゴ万博に出品されたダイマクションカーはいまでもクルマ好きをザワつかせることしきり。190km/h出せると豪語した奇妙なイモムシカーは当時の最先端技術が盛り込まれ、そのコンセプトはいまだクルマ作りに活かされているのです。

 そもそもダイマクションとは、「dynamic + maximum + tension」、すなわち「最小のもので最大を成す」という思想・理念を表すために設計者のバックミンスター・フラーが作り出した言葉。この方はアメリカの発明家であり、建築家でもあった人物で、イモムシカーのほかにも数々の建築物、発明品が遺されています。とくに、ジオテックドームやその基本となったダイマクションハウスは、建築業界では有名すぎる程の作品です。

 そんなフラーがクルマ作りでこだわったのが燃費効率でした。当時、ルーマニアのオーレル・ペルスというエンジニアが考案した涙滴型ボディに感銘を受け、ダイマクションカーにはティアドロップスタイルしかありえないとしたのでした。なにしろ、ペルスのクルマは空力抵抗値が0.22という驚異的な数値で、ダイマクションカーもそれを追随したいと考えたのでした。

 その結果、3.6リッターのフォード製V8エンジンを使用しながら、100kmあたり7.8リッターの燃料消費を実現。古臭いサイドバルブや、ごついオイルポンプによる損失を考慮すれば、驚異的な数値といえるのではないでしょうか。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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