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アメリカでも欧州でもなくなぜ「シンガポール」? マーライオンでお馴染みのシンガポールで自動運転が普及しているワケ

アメリカでも欧州でもなくなぜ「シンガポール」? マーライオンでお馴染みのシンガポールで自動運転が普及しているワケ

この記事をまとめると

■シンガポールでは自動運転の普及が進んでいる

■自動運転が普及しているひとつ目の理由はシンガポールの産業競争力の強化のため

■シンガポールが自動運転を強化するふたつ目の理由は交通システムの抜本的な転換のため

自動運転が世界一普及している国がシンガポール

 シンガポールで自動運転の普及が進んでいる。そう聞いても、ピンと来る人は少ないだろう。そもそも、シンガポールという国について日本ではあまり知られていない印象がある。

 一般的なシンガポールのイメージといえば、口から大量の水を勢い良く放出している「マーライオン」の姿。さらに、その先に見えるのは、「天空のプール」で有名な「マリーナベイ・サンズ」ホテルといったところか。それとも、伝統的な建造物としても名高い高級ホテル、ラッフルズでの優雅なアフタヌーンティーであろうか。

 そんなシンガポールで、なぜ自動運転なのか? 筆者はこれまで、自動運転に関してシンガポールの政府機関や大学、そしてベンチャー企業を直接取材してきた。そこでわかった、大きくふたつの理由がある。

 ひとつ目は、産業競争力の強化だ。シンガポールは、海運の交易拠点として英国とのつながりが強い地域として栄えた。その後、マレーシアから1965年に分離独立してからは、金融の街としてグローバルでの存在感を示すようになる。総面積は719km平方メートルで、これは東京23区とほぼ同じという、面積としては小さな国だ。そこには600万人弱が生活している。その上で、国力を維持し、さらに成長させるために、政府として優秀な頭脳集団を育成することを重要政策として掲げているのだ。

 とくにアメリカとの関係が深く、世界最先端の学術機関のひとつである、MIT(マサチューセッツ工科大学)との連携などによって、画像認識技術やAI(人工知能)に関する研究開発プロジェクトがシンガポール内で運用されている。そうした基礎技術を社会における量産技術に落とし込んだ事例のひとつが、自動運転だ。

 シンガポールが自動運転を強化するふたつ目の理由は、交通システムの抜本的な転換に向けた政策だ。小さな面積のなかで多くの自家用車が走るため、高速道路では朝晩に慢性的な渋滞が発生している。とくに、マレーシア国境を超えるための渋滞はとても激しい。

 また、市街地については、曜日や時間によって一般道路を有料化するダイナミックプライシングを導入して、交通規制をかけている状況だ。その上で、シンガポールとしては「自動運転がうまくハマるところ」を模索している。

 すべての交通を自動運転化するのではなく、市街地での回遊や、商業施設やオフィス街での移動など、自動運転化することで社会システム全体としての効率が上がる方法を追求しているのだ。いわば、国全体が「特区」であるシンガポールで、自動運転の実用化が進むのは当然なのかもしれない。

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