疑ってスミマセン! 半信半疑でホンダアクセスが提唱する「実効空力」を試したらマジで走りが変わった (2/2ページ)

マイカーでも確かに感じた効果

 さあ、今度は我々が自分のクルマで試す番だ。今回、なるべく同一条件で試すために、コースのなかでも比較的条件を揃えやすい定常円旋回の部分にフォーカスすることにした。なるべく同じ軌跡をとおり、車速を揃えて進入・周回することで、人よりセンサーがショボいボクでも違いを感じ取りやすいだろうと考えたのだ。

 まずは何も付けないままコースインして、パイロンとの間隔を頼りに走行ラインを決める。旋回車速はメーター読みで45km/h。この条件でコースを数周して、なにも付けない素の状態での感覚を身体に叩き込んだ。

 そしていよいよシェブロンを装着する。まずは土屋さんに倣い、ルーフ後端に貼り付けてコースイン。ラインと車速はさっきと揃えて……うーむ。なんだか、リヤがにじり出そうな感じが若干抑えられて、それゆえ細かい修正舵が減っている……ような気がする。

 つぎは、ルーフ前端に貼り付けてみる。確かに、今度は未装着時よりノーズが入りたがり、反面リヤの落ち着きのなさも増した……ような気がする。歯切れの悪いいい方になってしまい恐縮ではあるが、あまりにも土屋さんの言葉通りの変化が自分のクルマにも起きたので、心理的に刷り込まれているのでは? という気がしてしまうのだ。

 その後も、ボンネットに貼ってみたり、シビック用テールゲートスポイラーよろしくリヤウイングの裏に貼ってみたりと、いろいろと位置を変えて試すが、やはりボクの貧弱なセンサーでは「気がする」以上の変化は感じ取れずにいた。

 そんな姿を見かねたのか、元ホンダアクセスの開発統括である福田さんがやってきて、シェブロンを貼った箇所と実感できた効果のほどを伝えると、「効く」箇所をコッソリ教えてくれた。曰く、風の流れが大きいところほど効果が出ると。

 というワケで、福田さんのセレクトによってリヤウイング裏、フロントホイールアーチ前部(こちらは2枚重ね)、フロントホイールのスポーク間にシェブロンを装着した。さしずめ実効空力福田スペシャルとでもいったところだろうか。

 これだけ追加のシェブロンも用意してもらって「いやーわかりませんでした」じゃあシャレになんないよなぁ……と思いながら、福田スペシャルでコースイン。例の旋回に入ると、これがなんとまあ、先程とは全然違うのである。ノーズが逃げる様子もなく、リヤのせわしなさも落ち着いて、まるで旋回車速を時速数キロ落としたような余裕感がある。

 じゃあ、と色気づいてスロットルを踏み増してみると、さすがにプッシングアンダーが出てくる。タイヤのグリップが上がる魔法ではないのだから当たり前なのだが、「なんかイケる」気にさせられてしまうのだ。限界自体が大きく変わることはないのだが、その付近のフィーリングが快いものとなっている。そんな感じだろうか。

 先にも触れたが、実効空力の効果を数値化することは難しい。どこそこのコースで何秒タイムが縮まったとか、燃費がリッター何km伸びたとか、そういったことを目標にしたデバイスではそもそもないからだ(あるいは結果的にそのような効果が得られているのかもしれないが)。

 実効空力のコンセプトは、「誰がどんな道で走っても安心して気持ちよく操れる」こと。ふわっとした、抽象的なコンセプトだけに疑念をもつひともいるかもしれない、というかボク自身もそうだったのだが、今回その効果は確実に感じることができた。クルマの変化に敏感な方ならば、乗り心地やスタビリティ、風切音といったさらなる効果を実感できるかもしれない。

 こういっては身も蓋もないかもしれないが、実効空力デバイスの真価を理解するためには自分で試すのがいちばん、というのが今回の体験を通じての結論だ。

 ホンダアクセスは各地の自動車イベントで実効空力を体感できる試乗イベントを開催しているし、今回のように自作のデバイスでも効果を感じることができるので、騙されたと思ってぜひとも機会を作って試してみてほしい。きっと新鮮な発見が得られるはずだから。


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