そういや高速道路の工事作業員ってトイレはどうしてる? 意外と知らないトイレ事情の歴史 (2/2ページ)

仮設トイレが導入される現場が増加

 工作道路の工事現場では作業車、看板車、輸送用トラック以外にも、連絡車と呼ばれる車両がある。これは呼び名のとおり連絡用に使われるほか、作業員の休憩室としての役割をもつ。トイレに行きたい人をこの車両に乗せて、SAやPAなどに輸送することもあるのだそうだ。ただ、この方法は効率が悪い。たとえば、上り線の工事現場であればそこからSAに移動したあと、その先の出口からいったん降りて下りに入りなおす。そして、工事区間を過ぎた出口から出て、上り線に入りなおして現場に戻らなければならないのだ。

 そこで、災害やイベントなどでも使用される仮設トイレが導入される現場が増加した。高速道路上では下水設備がないので、仮設トイレは汲み取り式に限られる。平ボディのトラックに固定して、作業員の近くに配置されるわけだ。ただ、近年はよりよい職場環境が求められるようになり、トイレ事情も大きく改善される方向にあるという。

 そのきっかけは、女性作業員の増加である。海上自衛隊の潜水艦といった限られた空間の特殊な任務を行う環境でも、女性自衛官が参加するようになったことで、男子禁制の専用スペースを確保しているという。それは、高速道路の工事現場でも同じことなのだ。

 こういった背景から導入が進んでいるのがトイレカーである。小型トラックやバン車両をベースに、トイレを架装した車両だ。広さや快適さだけではなく、手洗い場やフィッティングボードを備えたタイプが一般的になっている。なかには事務室を備えるものもあり、着替えや休憩するスペースとしても利用できるのだそうだ。

 車種にもよるが、手洗いなどに使用する水は100リットル程度、便槽タンクでは260リットル程度の搭載が可能だから、工事が長時間及ぶ現場でも対応が可能。なかには排泄物を熱圧着で包装し、自動で切り離すから臭いを漏らさず衛生的で、捨てる際にはおむつと同様の処理ができるという機能を持つタイプもある。道路工事も「3K現場」といわれて人手不足が深刻だが、こういった職場環境の改善によって、人材確保につながることが期待されている。


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