いま中高年の「ジョブチェンジ」でトラック運転士が人気! 若者に頼らず運送業を運営する逆転の発想 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トラックドライバーとして働く人のうち若年層は1割と少ない

■一方で中高年の転職先としてトラックドライバーに注目が集まっている

■さまざまな業界のベテランがドライバー不足の解消に貢献している

トラックドライバーとして働く人のうち若年層は1割

 トラックドライバーの高齢化が問題になって久しい。経済産業省と国土交通省、農林水産省が2022年にまとめた資料によると、現在道路貨物業で働く年齢層は40〜55歳が45.2%で65歳以上が9.5%、若年層と呼ばれる15〜29歳が10.1%となっている。全産業平均の年齢層は40〜55歳が34.7%で15〜29歳が16.6%。この数字から見ても、トラックドライバーは中高年層が多く、若年層が少ない傾向にあることは一目瞭然だ。

 少子高齢化が進んでいる日本社会において、トラックドライバーの若年層が1割、中高年層が3割強というこの数字は、今後のさらなる人口減少を考えるとかなり深刻な問題だ。2020年に1億2600万人だった日本の人口は、2031年には1億2000万人を下まわり、2050年には1億500万人、2070年には8700万人にまで減少するといわれている。これらのデータから鑑みると、今後は全産業において若手の争奪戦になることは明らかだ。

 バブル期には年収1000万円以上もザラで、「3年働けば家が建ち、5年働けば墓が建つ」ともいわれたドライバーの仕事。ハードだがそのぶんしっかり稼ぎに反映されるブルーカラーの花形だった。ところが現在は、全産業の平均収入の2割減という、ハードなのに稼げない職業に落ちてしまっている。これでは、これから社会に出て働こうという若年層が、将来の職業にトラックドライバーを選ぶ可能性は、よほどのトラック好きでなければ、極めて低いと考えざるを得ない。

 ならば、発想を逆にして、いっそ中高年をトラック業界の人手不足解決の切り札にしてはどうか、という議論が一部で始まっているという。先述した日本の人口の未来予測によると、50〜64歳の人口全体に対する割合は、2020年は25.7%なのに対し、2030年は28.3%、2040年には27.9%と、中高年はむしろ増えると予想されている。その未来のマンパワーをドライバーに活かそうというわけだ。

 グループ会社を含めるとおよそ5000人の正社員がいる、とある大手企業の物流子会社では、そのグループ企業から中高年社員をドライバーとして引き抜くことで、過去10年以上外部からのドライバー採用を行っていないという。そのなかには部長クラスの管理職からのジョブチェンジしたドライバーもいるが、本人はその異動に不満をもっていない、いやむしろ本人がそれを希望して転籍しているとのことだ。


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