この記事をまとめると
■デコトラは日本独自の文化として知られている
■一方でヨーロッパのトラックドライバーもカスタムを好む傾向にある
■今回はヨーロッパのカスタムトラックを紹介する
日本のデコトラとは異なるユーロ仕様のトラック!
日本独自の文化として知られるデコトラ。荷物を運ぶためのトラックにステンレスや鉄で製作された飾りを取り付け、ペイント(絵)や電飾パーツなどで派手に仕上げるといういわゆる改造車の一種であるが、近年では派手さではなくオシャレでシンプルなスタイルが好まれるようになってきた。
派手なデコトラでは現場から敬遠されてしまうため、仕事がしにくくなった。それに伴い、デコレーションの方向性がシフトしたのである。そのため、トラックのことを知らない人からすれば「デコトラが減った」と感じるだろうが、じつのところはそうではない。ただ派手な仕事車が減ったというだけであり、デコトラの数そのものは昭和の時代よりも明らかに増えているのだ。
そう、日本独自の文化は時代に合わせながら進化を続けているのである。
そんな日本のデコトラ事情であるが、近年ではボルボやスカニアなどといった外国製のトラックが数多く活躍するようになった。そして、国産トラックもヘッドライトがフロントバンパーに組み込まれるようになり、キャビンも流線型のオシャレなデザインとなった。そのような流れから、昭和時代のようなステンレス製の直線基調の飾りではなく、FRP製のエアロパーツを纏った外国のカスタムを真似するドライバーも増えてきている。
ユーロ仕様のトラック画像はこちら
ヨーロッパのトラックドライバーたちも、愛車に大枚をはたいてカスタムするという傾向が強い。いわゆるユーロ仕様と呼ばれているが、もちろん日本のデコトラとは趣向が大いに異なる。ヨーロッパではデコトラのような派手さではなく、旧くからレーシーでスポーティ、そしてクールな電飾が好まれてきたのだ。
ここでは、2024年の5月にミサノワールドサーキットにて開催されたカスタムトラックのショーイベントで現地のカメラマンが撮影した写真をお借りして、現在のトレンドを探ってみたい。
ベース車がもつデザインやラインを活かしたカスタムが印象的なヨーロッパのトラックたちは、スタイルそのものは似通ったものとなる。どうやらカラーリングやイラストなどで、他車との差別化が図られているようだ。さらにはインテリアも凄まじい。レザーの生地で快適かつゴージャスに仕上げるだけではなく、スピーカーを数多く取り付けたトラックが多いのも近年における特徴であると言える。そんなヨーロッパのトラックたちは、日本におけるサーキットにレーシングマシンを運ぶトラックたちが近いかもしれない。
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このようなヨーロッパのトラックに興味がわく人もたくさんいるとは思うが、ヨーロッパにはヨーロッパの、そして日本には日本の文化やスタイルが存在する。とくに自動車カスタムの世界では、お国柄によって車検制度の有無など大きな違いが存在するため、たやすく比較することはできない。その証拠にヨーロッパや諸外国のメディアでは日本のデコトラが大々的に特集されており、一様に高い評価を得ている。
乗用車の世界でもいえることであるが、やはりベース車に似合うカスタムを施すことが重要である。そして誰かの作品を安易に模倣したり流行りのスタイルをただ展開するのではなく、独自のセンスやアイディアを体現した車両がファンから支持されるのは、どうやら万国共通であるようだ。個性が失われつつある時代ではあるが、趣味嗜好の世界を存分に楽しむためには、ぜひともオリジナリティを尊重したいものである。