あらゆるステージで好印象だったエクストリームA/T
都心の一般道から走りはじめたわけだが、最初に「おっ?」と気づいたのは、乗り心地がいいということだった。アスファルトに当たり前のようにある大小の凹凸、波のようなうねり、段差、それに石畳の細かな凹凸や緩いねじれ。そうした外乱の存在をもちろん伝えては来るのだけど、不快なモノとしては使えてこない。ウォールの部分が上手にたわんで衝撃をいなしているような、そんな感触だ。
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高速道路にすべり込んでも、その印象は変わらない。速度域が高くなったぶん、凹凸や目地段差から来るショックも大きくなるものだけど、それでも何だか思いのほか乗り味がまろやかなのだ。直接比較をしたわけじゃないから正確ではないかもしれないが、ジムニーの標準タイヤと同じぐらいか、もしかしたらちょっとだけ快適かもしれない、とすら感じられたほど。
こうしたタイヤにしてはロードノイズもそう大きくはないし、その音質も耳障りな類じゃないから、それも快適に感じられた要因だったかもしれない。ウォールが柔らかいようなフィーリングがあるのにレーンチェンジなどで変に捩れたり、路面に触れる部分のゴムがグニャグニャ動いたりと、そうしたイヤな感触が伝わってこなかったことも、と思う。
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まるでフツーによくできたオンロード・タイヤ。この時点までのエクストリームA/Tは、そんな印象だった。これで1本8400円(送料税込、2025年4月現在)とはとうてい信じられない。その反面、「オフロードもいける」だとか“雪道でも走れる”だとか、そのあたりのことは期待しないほうがいいんじゃないか? なんて考えてたところはある。
ところが、だ。乾いた土と砂利の急坂あり、派手な凸凹や段差やうねりのある乾いた荒れ地あり、濡れた赤土あり、泥濘あり、というスロウな速度域のエリアでは、乾いた土の上でも濡れた土の上でもしっかりとしたグリップを感じさせながらあっさりと走破できたし、泥濘んだ地面では多少は空転することはあれど粘り強さを見せて難なくクリアできた。とても自分の短い2本の足では踏み込みたくなんかないような悪路だというのに、何よりドライバーがオフロードの素人だというのに、である。
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さらに、だ。乾いた土と砂利とときどき小石のスピードレンジの高い路面では、ところどころ窪みがあったり盛り上がりがあったり水たまりが登場したりするというのに、進路を乱されることもほぼなく、地面の状況をドライバーにしっかりと伝えながら、じつに気持ちよく走らせてくれる。
ところどころ現れるコーナーではリヤが滑り出そうとすることも結構あったのだけど、グリップを失う──というより手放していく一連の流れがじつにわかりやすく伝わってくるし、コントロール性もなかなかに高いから、慣れてきたらわざと軽くスライドさせるような走り方を楽しんでしまったりもした。
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繰り返しになるけど、ドライバーである僕はオフロードなんてめったに走らない、見事なまでのシロート。それなのに、だ。そういうことを許容してくれるタイヤなのである。しかも、だ。悪路を走ってる間、一度も乗り味に不快を感じたことがなかった。そう、こうした場面においても、オンロードを走ったときと同じような快適さみたいなものを、僕はずっと感じていたのだ。
いや、道なき道のようなところに分け入るのが好きな人や、砂利道のコースでスポーツ走行をするのが好きな人のような、日常的にラフロードを楽しむようなドライバーであれば、また別のチョイスもあるだろう。けれど、ごくたまにこうした道をちょっとだけ楽しんでみたくなるライトな4WDフリークや、逆にこうした場面でタイヤの限界を見極めながら走れる玄人の気軽なシューズとしては、かなりいいところにあるタイヤなんじゃないか? と思う。
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そんなことを考えるでもなく考えながら、雪のある標高の高いところへ向かう道すがら。そこは両脇に雪の壁はあるものの、路面はドライのワインディングロード。ジムニーそのものがそうした道を駆け抜けるのに相応しい作りとされてるわけじゃないから、じつは乾いた峠道でどうか、だなんて意識してもいなかった。なのに、思わぬ幸運。この追加ステージ(?)でも悪くない、ということを体感できたからだ。
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スッと切り込んだときの反応は結構スロウ、操舵に対して1テンポ遅れて曲がりはじめるようなところがあるのだが、それでもいざ向きを変えはじめるとかなり素直に曲がっていってくれて、コーナーを気もちよくクリアしていくことができる。コーナリング中に雪どけ水を踏んでグリップ感が変わることはあっても、常識的な速度域で走る限りクルマの動きそのものには何事も起こらない。しっかり排水してくれてるのだな、と思う。このあたりで、もしかして雪の上でも悪くないんじゃないか、という期待感がちょっとずつ膨らんできた。
そして、膨らんだ期待感はまったく裏切られることがなかった。走った道は、溶け出した雪水がうっすらと氷り、その上に降雪があって軽く積もり、それをクルマが散らしたり踏み固めたりした、極めて滑りやすいコンディション。夏タイヤならぬ夏シューズ(?)だった自分が悪いのだが、歩いていて何度かスピンしそうになり、仕舞いにはクラッシュ(=転倒)しちゃったくらいの滑りやすさだった。
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にもかかわらず、エクストリームA/Tは、危なげなし。最初はおっかなビックリ走りはじめ。次第に制限速度ぐらいまで速度域を上げて走ったのだが、その領域では一度たりともヒヤリとすることがなかった。画撮りのために全開での発進を試みたときも、雪を掻くのは一瞬だけ。開けたタイトコーナーでわざとリヤを降り出そうと試みても、リヤが滑るのは一瞬だけ。ABSを利かせたフルブレーキングを試みても、予想よりだいぶ短い距離でしっかり停まる。いや、もちろん物理の法則を無視するような無茶な走らせ方をしたら話は別なのだろうが、少なくとも常用スピードといえる領域で走っている限りは意外なほどの強力なグリップを見せてくれて、ちょっとばかり驚いたくらいだ。
いうまでもなく、積雪地帯や路面が氷りがちなエリアに住む人、あるいはそうしたところへ頻繁に訪れる人には、氷にも強いスタッドレス・タイヤを強く推奨するけれど、状況次第ではあるものの、そうでもなければ基本はこれで十分。慎重に走れば、まず大丈夫だろう。そんなふうに実感することができた。
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──と、ちょっとホメすぎ? と思われるかもしれないのだけど、マックストレック・エクストリームA/Tはすべてのステージで好印象だった。オールテレインタイヤとして、オールシーズンタイヤとして、僕が「こうあってほしい」と感じてる個人的な水準を、はるかに越えていた。そして何度もいうが、これが1本8400円(送料税込、2025年4月現在)という価格で手に入るのだから信じられない。
あらためて値段を見てみると、キツネにつままれたような気分どころか、キツネにデコピン喰らわされたような気分になる。だって、今回ジムニーに装着したホイールとタイヤのセットで、1台分7万8400円(送料税込、2025年4月現在)の出費で別世界が得られるようなものなのだから……。
スズキ・ジムニーとマックストレック・エクストリームA/TとオフレッサーOP-S5と嶋田智之さん画像はこちら
ずいぶん前から何となくほしいと感じてきたジムニーを、僕はいつか手に入れるかもしれない。その可能性は、結構高い。そうしたら、このタイヤとホイールの組み合わせを、僕は間違いなく選ぶことになるだろうな、なんて考えてる今日この頃だ。
オンもオフもスノーもイケる「マックストレック・エクストリームA/T」は驚異の超ハイコスパなタイヤだった画像はこちら
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