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国交省の「トラックGメン」創設にブルったドライバーもいたが全然違う! ドライバーや運送業者の労働環境を守る味方だった

国交省の「トラックGメン」創設にブルったドライバーもいたが全然違う! ドライバーや運送業者の労働環境を守る味方だった

この記事をまとめると

■2023年に国土交通省が「トラックGメン」の創設を発表

■現在162名体制で業務を遂行している

■「トラックGメン」の役割について詳しく解説

トラックドライバーを守る正義の味方!

「Gメン’75」……、丹波哲郎、倉田保昭、藤田美保子などが並んで歩くエンディングを懐かしく思うのは昭和世代だろうか。刑事ものの金字塔ともいわれるこのドラマで、初めて「Gメン」の存在を知った人も多かったように思う。「Gメン」とは、ガバメント・マン(Government Man)の複数形。一般的には、公務員のことを指している。そこから転じて、犯罪の捜査や令状による強制執行権を付与された捜査官(とくにFBI特別捜査官)のことを、アメリカでそう呼ぶようになったのだそうだ。

 日本では、前述のように刑事ドラマで使用されたことから、世間では「特別な警察官」だと思われがちだ。しかし、実際の用法としては「麻薬Gメン」や「労働Gメン」というように(ともに厚生労働省)、警察関係以外の役所が捜査・調査・摘発などを行うチームの編成をする際に使用されることが多いようである。

 2023年6月、国土交通省が「トラックGメン」の創設を発表した。字面から「トラック関連の取り締まりが厳しくなるのか!?」と、首をすくめた運輸事業者やトラックドライバーも多かったことだろう。確かに、トラックといえば過積載やスピードリミッターカットなど、違法行為が目立つことも少なくない。しかし、彼らは真面目な運輸事業者、トラックドライバーを守るための、正義の味方だったのだ。

「トラックGメン」が創設されたのは「発荷主企業のみならず、着荷主企業も含め、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業、元請事業者の監視を強化するためである。要するに、荷待ち時間や不当な低運賃が横行する現状を、彼らが改善に向けて「働きかけ」や「要請」を行うことで、トラックドライバーの労働条件を改善していこうというわけなのだ。

 国土交通省は、以前より同様の業務を行っている。しかし、「働きかけ」や「要請」に応じない悪質な荷主や元受け事業者などがいたため、82人体制であったところに80人を増員し、162人の「トラックGメン」が誕生したのである。結成から半年と経っていない同年10月の発表では、貨物自動車運送事業法に基づく「働きかけ」を120件、「要請」を5件実施するなどといった実績を上げている。

 さらに、同年の11月と12月には「集中監視月間」をスタート。悪質な荷主や元請け事業者などの監視を強化したほか、同省の荷主特別対策担当官や中小企業庁の「下請Gメン」などと連携強化をするといったことをしている。これは、9~10月にかけて実施した全トラック事業者を対象にした調査で、長時間の荷待ちや運賃、料金の不当な据え置きなどを強いる、悪質な荷主や元請け事業者の情報が多数寄せられたことが背景にあった。

 この「集中監視月間」で、悪質な荷主や元請け事業者に対する監視を抜本的に強化した結果、164件の「要請」と47件の「働きかけ」を実施している。また、過去に「要請」を受けたにもかかわらず、依然として違反原因行為をしている疑いのある荷主などに対し、2件の「勧告」も行なった。

「トラックGメン」によるこれら一連の活躍により、少しずつ運輸事業者の意識が変わりつつあるという。しかし、「働きかけ」「要請」「勧告」だけでは、強制力が働かないので限界がないわけではない。万一、「勧告」にも従わないような悪質な事業者が出てきた場合には、さらに重い行政処分や捜査機関と連携して検挙するなどといったことが行われることになるだろう。「トラックGメン」の今後の活躍に、ますます期待が高まっている。

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