
この記事をまとめると
■連節バスとはふたつ以上の車体をつなげたバスのことをいう
■一度は姿を消したものの最近になって再び増えてきている
■連節バスの需要が高まった理由について解説
つくば博のために導入された連節バスが復活!
バス業界は現在、さまざまな問題を抱えて岐路に立たされている。利用客の減少やクレーマー、カスハラといった利用客側の問題、さらに運転士不足による路線の廃止や減便など、どれも売り上げを確保することを難しくさせている要素ばかりだ。
利用客の減少は減便にもつながるが、通勤通学の時間だけは利用客が多いとなると、闇雲に減便してしまうと乗り切れずに溢れてしまう利用客も発生する。そこで1台のバスでよりたくさんの乗客を運ぶ方法も導入されている。
そのひとつが連節バスだ。文字どおり連なる節をもったバスのことで、2台のバスを連結したようなもの。トレーラーバスというものもあるが、連節バスはふたつの車体の室内空間がつながっていて、行き来できるようになっている。
トレーラーバスは連結部分が細くなっているため、連節バスよりも小まわりが利くが、連結部分を跨いで横断しようとして、交通事故に遭うなど利用客の安全性確保に問題があって、連結部分を蛇腹で覆った連節バスになったという経緯もある。
日本では1985年に開催されたつくば科学万博(通称つくば博)のために連節バスが初めて導入された。たくさんの来場者を運ぶには従来のバスでは輸送能力が不足したことから、連節バスを輸入して導入したのだ。それはボルボ製のバスシャシーで、富士重工業がボディを製作、乗車定員は162人を誇った、全長17.99mの超ロングボディバスだった。
スーパーシャトルバスと名付けられたこの連節バスは、100台を製造し、万博会場付近で活躍したが、つくば博閉会後は、80台と大部分がオーストラリアに輸出されたらしい。一部が羽田空港でシャトルバスとして使われたようだが、それも老朽化により廃車されている。現在はバス愛好家団体が2台動態保存しているといわれており、日本での連節バスの利用は終わったと思われていた。
ところが近年になって、再び連節バスが導入されるケースが増えているのだ。それが冒頭で語った輸送量確保の解決策だ。それでも連節バスが走れるのは、小まわり性を求められない幹線道路主体のバス路線に限られる。今後、日本では鉄道の廃線が進み、バス路線も整理されていくなかで、ラストワンマイルの移動手段など新たな課題を解決する手段も必要だろう。
それがグリーンスローモビリティなどコミュニティバスよりも小さな乗合バスや、ライドシェアになるはずだ。グリーンスローモビリティは全国に広がりを見せているが、ライドシェアはタクシー業界の抵抗が強く、参加ドライバーが増えそうな環境にはなっていない。これまでドライバーはたくさんいたため、待遇はそれほどよくはなかったが、今後ますますドライバーという職業が人手不足となっていくため、人材が貴重になってくる。
バスは公共交通機関として一定の移動手段としての役割を果たす義務がある。赤字路線も運転士の報酬も、自治体からの補助金を増額してでも確保していく責任があるはずだ。今後は、バス路線の確保にどれだけ自治体が負担する姿勢を示すかで、状況は変わっていくだろう。