ギラギラのイカつい部品がついててデコトラは危険……は思い込み! デコトラがゆえに命を救われた事例もあった (2/2ページ)

デコトラのパーツがライダーを救った!?

 まずひとつ目は、サンドイッチ案件。デコトラが前走する箱型の大型トラックに続いて、信号待ちのため停車した。すると、ノーブレーキの大型トラックに追突されたのである。その弾みで前方へと押し出され、デコトラは大型トラックに衝突。その結果、3台の大型トラックによる多重事故となり、最初に追突した大型トラックのドライバーが死亡した。

 デコトラのドライバーも車内に閉じ込められたのだが、レスキュー隊の活躍によって、数10分後に救出された。足の骨を折る怪我を負ったものの、命に別状はなかったという。その現場に居合わせた警察官が、「追突してきた大型トラックの損傷具合から考えると、間に挟まれたあなたも死亡しているのが当たり前のような内容だった。デコトラの飾りがショックを吸収し、そして生存できる空間を築き上げてくれた。あなたが大切にしていたトラックが、あなたの命を守ってくれたのでしょうね」との言葉を発したのである。

 ふたつ目は、信号待ちをしている大型トラックのデコトラに、後続の乗用車がノーブレーキで追突してきたというもの。このようなケースの場合、乗用車のドライバーは亡くなる可能性が高くなる。車高が高い大型トラックの下部に車体がめり込んでしまうことで、フロントガラスとルーフ部分が大型トラックの荷台部分に直撃してしまうのだ。

 そのような事故を防ぐため、大型トラックには対策バンパーと呼ばれるアルミ製リヤバンパーの装着が義務付けされている。それでも完全に防げるというわけではなく、死亡事故となるケースはあとを絶たない。

 この事故の被害者となった大型トラックのデコトラは、対策バンパーに加えて高さのある大きなステンレス製のリヤバンパーを装着していた。そのことが功を奏し、追突した乗用車が大型トラックの下部にめり込むことはなかった。ステンレス製のリヤバンパーがショックを吸収するとともに、乗用車が大型トラックの下部に入り込むのを防いだのだ。そして、ステンレス製のリヤバンパーの内部に装着していた対策バンパーで、乗用車は止まったのである。乗用車のドライバーは居眠り運転をしていたのだが、怪我は負ったものの一命は取り留めたのである。

 3つ目は、デコトラと単車の事故。高速道路の追い越し車線を走行していた大型バイクが、急な車線変更をしてきた乗用車と接触して転倒した。その弾みでライダーは走行車線へと弾き飛ばされたのだが、そこに運悪く中型トラックが走ってきた。あやうく中型トラックの後輪に巻き込まれるところだったのだが、その走行車線を走っていた中型トラックはデコトラで、巻き込み防止の意味をもつサイドバンパーを装着していた。そのサイドバンパーにライダーの体が当たり、後輪に巻き込まれることはなかった。そうして、ライダーは九死に一生を得たのである。

 上記の3つは、あくまでもデコトラの飾りが救った交通事故の一例である。デコトラは、たしかに危険な乗り物に見えるかもしれない。もちろんトラックであることには変わりがないため、危険な乗り物であることは事実である。しかし、飾っているからこそ危険だという認識は、誤りかもしれない。人は見た目で判断するなとよくいわれるが、改造車も同じではないだろうか。これからも見た目だけで判断するのではなく、中身で判断できる人間でありたいものである。


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