この記事をまとめると
■デコトラに尖ったパーツを装着する人は少なくない
■そのためデコトラは危険だというイメージをもたれやすい
■しかしそのような事実はなくむしろ人の命を守った例もある
デコトラが事故の被害を拡大した例は確認されていない
ステンレスで製作されるのが一般的な、デコトラのパーツ。フロントバンバーや日よけの役割を果たすバイザー、サイドミラーを固定するためのミラーステー、天井に載せるシートデッキと呼ばれるそれぞれのパーツが、トラックを華やかに仕立て上げている。
ステンレスが好まれる理由は、ずばり硬くて丈夫なところ。鉄で製作することにこだわるデコトラ乗りも数多く存在しているが、鉄はサビやすいという性質をもっている。雨や雪のなかを駆けるデコトラにとっては不向きな材質であるのは明白で、こまかなメンテナンスが必要とされるのだ。だからこそサビないステンレスが一般的となっているのである。
デコトラのイメージ画像はこちら
そんなデコトラのパーツを見たとき、突起物だから危険だという意見が散見される。たしかにパーツの先端を尖らせるのを好むデコトラ乗りが多いのも事実であるため、その部分に関してはご指摘どおりだといえるだろう。
しかし、だからこそ危険かどうかは別問題。尖らせたフロントバンパーを装着していたからこそ致命傷となったというケースは、意外にも聞いたことがない。足を切断するほどの被害を与えたケースも、調べた限り確認できなかった。
近年では樹脂製のフロントバンパーを装着するのが一般的だが、昔は鉄製のフロントバンパーが当たり前だった。そもそも、自動車そのものが鉄の塊である。たとえフロントバンパーを樹脂製にしたところで、フロントバンパーを固定するフレームは鉄。硬さの面だけで考えると、フロントバンパーをステンレスにしたところで大差はないだろう。
デコトラのイメージ画像はこちら
そもそも、自動車を改造する人はクルマをこよなく愛している。大枚をはたいて製作した改造車を壊したいとは誰も思わない。そのぶん、交通事故の加害者になるケースは少ない。デコトラの世界では、数百万円もの費用をかけてフロントバンパーを製作するケースも珍しくない。そのため、車間距離を保とうとするのは自然な流れで、それが安全運転へとつながるのだ。
興味がない人からすれば、改造すればするほど危険性が高くなると感じてしまうのも無理はない。しかし、中途半端に改造したクルマが危険な運転をする傾向にあり、改造すればするほど大切に扱うというのが、愛好家たちの実情なのである。
上記を踏まえると、デコトラは本当に危険なのか。ここでは逆に、飾っていたことで救われた交通事故の実例を3件振り返ってみたいと思う。