長距離トラックだけに必要な重要装備! 横にぶら下がる謎の輪っかの正体とは?

この記事をまとめると

■トラックの側面に小さな輪っかがついていることがある

■輪っかの正式名称は「フェリーフック」

■フェリーに乗船する際に車体を固定するのに使用するものだ

フェリーフックがついていないトラックは乗船できないケースも

 日夜、あらゆる荷物を運んで活躍しているトラックたち。労働時間が厳しく定められた2024年問題によって厳しい環境下に置かれている彼らであるが、トラックがなければ当然のごとく便利で快適なわたしたちの暮らしは維持できなくなる。さらには大型トラックには速度抑制装置が義務付けされているため、最高速度が時速90kmに制限されている。そんな窮屈で過酷な世界で働くひとたちには、頭が下がる思いである。

 そんなトラックには、さまざまな種類が存在する。代表的なのが、冷凍車やウイング車のような箱型の荷台を載せたトラックや、屋根をもたない平型のトラックたち。運ぶ荷物によって荷台のスタイルを選択する必要があるのだが、そんなトラックの側面に、オーバル状やリング型の小さな輪っかがついている車両を見たことがないだろうか。

 全国各地を走る大型トラックの移動手段といえば、陸路以外にも航路が挙げられる。つまり、フェリーによる移動だ。そんなフェリーを使用するトラックに、さきほどの輪っかが大きな意味をもつのである。

 その輪っかの正式名称は「フェリーフック」。読んで字のごとく、フェリーに乗船する際に活用するものだ。フェリーの床面にはクローバーリーフと呼ばれる土台が装備されており、そこにラッシングベルトを固定する。そのラッシングベルトをトラックのフェリーフックにつないで、トラックを固縛するのである。

 フェリーとは海を航行する乗り物であるため、当然のごとく激しい揺れが生じる。揺れによって、トラックが横転や移動をしてしまうことがあるのだ。そんな事故を防ぐために、車体側の適切な場所に十分な数のフェリーフックを備える必要があるのである。

 もちろん陸路で短距離輸送のみに従事するトラックには、フェリーフックを装備する必要はない。絶対につけなければいけないものではないのだが、万が一事故が起きた場合でも、フェリーフックを使用していれば保険が適用される。フェリー会社によってはフェリーフックのことをラッシング用フックリングと呼ぶことがあるのだが、そのリングが装着されていないトラックの乗船を断るケースもあるほど、重要な存在となっているのだ。

 たとえ見た目は小さくても重大な役割を担い、大きな意味をもつ。それこそがトラックの車体に取り付けられた、小さな輪っかなのである。


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