「鉱物油」は安さだけがメリットじゃないって知ってた? クルマの「エンジンオイル」は「高いの選んどきゃ間違いナシ」じゃなかった

この記事をまとめると

■オイルには化学合成油と鉱物油が存在する

■化学合成油は高価で鉱物油は安価というイメージが強い

■鉱物油でも日常使いではまったく問題なく旧車などにはむしろ相性がいいともいわれている

よく聞く鉱物油ってどんなオイル?

 エンジンオイルに関しては、カーマニアの人数分だけ流儀があるといわれているので、詳しい読者もたくさんいるだろうが、エンジンオイルのベースオイルには、大きくわけて3種類のタイプがある。

 ひとつは鉱物油。そして最近主流の化学合成油。そして鉱物油と化学合成油をブレンドした部分合成油だ。
一般的には価格の安い鉱物油は性能がイマイチで、価格が高い化学合成油は高性能オイルというイメージがあるが、どんなものにも一長一短があるので、いたずらに高価な化学合成油を入れればいいというものではない。

 あまり知られていないが、ドラッグレースの最高峰、トップフューエルやファニーカーの1000馬力級のエンジンには、鉱物油が使われていたりするぐらいなので、鉱物性オイル=コスト重視のタクシー用オイル、などと考えるのは早計だ。

 では鉱物油のメリットは何なのか。

 鉱物油は原油から不要な成分を取り除いて精製されたオイル。製造方法がシンプルなので、コストが安いのが1番のメリット。

 ただしコストだけでなく、鉱物油は天然油に近いオイルなので、分子が大きい。分子が大きいオイルは、油膜が厚く、熱伝導率が高く、冷却作用に優れ、極圧性も高い。

 その反面、酸化しやすく劣化が早く、交換サイクルは短くなる。

 また、高温安定性やせん断安定性などは化学合成油に軍配が上がり、粘度範囲が広く低温流動性に優れているのも化学合成油の特徴。

 簡単にいえば守備範囲が広く、安定度が高いのが化学合成油だが、街乗りメインの経済的なクルマで、普段の走行距離も短いようなら、鉱物油でも十分だ。

 よって、高価な化学合成油はオーバースペックともいえなくない。

 また旧車には化学合成油が適さないともよくいわれている。過走行車や旧車の場合、化学合成油を使うとオイル漏れを起こすことがあるからだ。

 エステル系の化学合成油の成分、ジエステル(DOS)は、パッキンやシールを膨張させる働きがあったり、反対にポリ系の成分はゴム部材を収縮させることがあったりするので、それらが影響している可能性がある。

 そして圧縮が抜けてきたエンジンにも、油膜の厚い鉱物油のほうがより相性がいいので、旧車や過走行車には、鉱物油というのが定番になっている。

 ざっくりいえば、化学合成油は複能のゼネラリストで、鉱物油は単能のスペシャリストといったところなので、特性を知っていれば、鉱物油を選ぶメリットは今でもある。

 少なくとも、自動車メーカーの純正オイル(指定オイル)が鉱物油であれば、わざわざ化学合成油や部分合成油にしなくてもOK。交換サイクルさえ、メーカーの指定時期を守っていれば、鉱物油でもトラブルフリーで10万㎞でも20万㎞でも元気に走り続けてくれることだろう。


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藤田竜太 FUJITA RYUTA

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