この記事をまとめると
■ボロ車の買取は輸出や解体で利益を確保している
■悪徳業者は減少したが注意は必要だ
■相場を確認して交渉すれば買取額アップも可能な場合がある
どんなクルマでも買い取りますってどういうこと?
もったいない文化が根付いている日本とはいえ、これってどうなの、と眉をひそめる場面もありますよね。たとえば、どなたも見かけたことがあるはずの「どんなボロ車でも3万円から買い取りします!」というやつ。一体全体、どんな仕組みになっているのか皆目見当もつきません。たしかに、日本の中古車は海外で人気だとは聞きますが、20年落ちのガッサガサなポンコツとなれば話は別なはず。ちょっとインチキ臭い事情通に聞いてみました。
どんなボロ車でもっていう宣伝文句をよく見かけますけど、あれって本当に買い取ってくれるんですかね?
──ほとんどの場合、買い取ってくれるんじゃね。もし、なんやかんやケチつけてきて、3万もらうどころか「廃車費用で1万5000円よこせ」なんつってきたら、そりゃ悪徳業者というか、このビジネスやったことのない素人だよね。
え? 廃車費用とかなんとか、逆にお金取られるなんてことあるんですか?
──ちょっと前には流行ったよ。年寄りがなんも知らずにもちこんできたりしたら、「ああ、これじゃいくらなんでも売れないっす。むしろ、この状態で乗り続けるのもヤバいっすよ。なんだったら、こっちで廃車手続きしますんで、ムヒヒ」みたいな。
状態の悪いボロ車のイメージ画像はこちら
でも、そういうの引き取ったら、素直に廃車しないでアフリカとか東南アジアに輸出しちゃうんでしょ?
──そうそう。そこそこ需要のあるクルマだったら、そのまま輸出するし、なんなら解体してパーツで売りさばくこともある。ただ、年寄りがもちこんでくるのは軽自動車が多くてさ、輸出しづらいんだよね。逆に軽トラックは人気なんだけど、めったに来ない。乗りつぶしちゃうのか、誰かにあげちゃうとかできるからね。
でも、そういう詐欺みたいなケースは減ってきたと?
──消費者センターっていうの? あれが意外とうるさかったんだよ。目をつけられると、謄本からなにから調べられて、警察やら税務署にチクられることだってある。のちのちのシノギに響いちゃうわけだ。だから、年寄りから小銭集めたってしょうがねえってことになったんでしょうな。
てことは、いまどきのボロ車の買い取りはまともな商売ということですか?
──だいたいね。やつらの利益の出し方ってのは究極というか、骨の髄まで吸い取る感じだから、客をだましてってのは少ないはずだ。
具体的にはどうやって利益を出すんですか?
──さっきいったとおり、需要のあるクルマだったらどんなボロでも輸出にまわす。バックに輸出専門の業者や、外国人がいたりすればそう難しい話でもないし、マージンがたとえ1万円しかなかったとしても、数をさばけばそれなりの利益になるだろう。それから、解体してパーツごとに売りさばくというのもバカにできない。これまた国内でさばくより、海外に出したほうが高くなる。セルモーターやらポンプ、アフリカや中南米だとサブフレームなんてのも人気があるみたいだし。
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国内のオークションではダメなんですかね。そっちのほうが手っ取り早い気がします。
──全国的な中古車オークションに参入するのって、アンタが考えてるほど簡単じゃないんだよ。店の地所を登録したり、身の上をなんやかんや登録しないとならないし、相当なコストがかかるんよ。これを嫌がる外国人なんかは、手っ取り早く仕入れられる買い取り屋をすることが多いんじゃないかね。
ずばり、3万円で買い取ってどれくらい利益が出ればOKなんですか?
──そりゃ商売のスケールによるけど、1万、2万てこともあれば5万、10万てケースも聞くね。扱う金額が少ないんだから、数をさばかないと成り立たない。ストックしておく地面や、解体するならそのスペースや人件費だってかかってくる。都会じゃ到底できない商売かもね。
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ということで、なんとなく納得できたのではないでしょうか。ちなみに、ボロ車をもっていたとして、買い取り屋にもち込む際は「ざっくりでいいから相場の値段を見ておくべきだね。そしたら、3万でなく3万5000円、もしかしたら4万円にできるかもしれないでしょ」とのこと。また、悪徳業者が完全に駆逐されたわけでもないので、ちょっとでもケチつけられたり、お金を支払う話になったりしたらキッパリと断る勇気を忘れずに!