この記事をまとめると
■じつは緊急車両を追走すること自体は違法ではない
■緊急車両だけの特例を一般車が利用することは当然不可能
■このご時世では社会的制裁を受けるリスクが高くメリットが乏しい
意外にも道路交通法での規制はない
緊急走行をしている救急車やパトカーなどが接近してきているのにもかかわらず道を譲らなかった場合、緊急車妨害等違反となり、違反点数1点、反則金6000円(普通車)が課せられることになっている。では、いったん緊急車両に道を譲って、そのあとをスリップストリームのように緊急車両の背後に入って追走したら、スイスイ走れてラクチン……なんて想像したことはないだろうか。
緊急走行するパトカー画像はこちら
常識のある人は、「それはさすがにダメだろう」と考えるだろうが、道路交通法には、「緊急車両を追走してはならない」と書かれた項目はない。
したがって、緊急車両のすぐ直後に引っ付くようにして走ること自体に違法性はない。しかし、緊急車両には緊急車両にだけ認められている特例があり、そのおこぼれを頂戴できるわけではない。
・赤信号の交差点に進入できる(一般車両が真似すれば当然信号無視)
・道路の右側部分に車体の全部又は一部をはみ出して通行できる(一般車両は通行帯区分違反)
・ほかの車両の追い越しが許可される
・赤信号や横断歩道などでの徐行・停止義務が免除される
こういったことは緊急車両ならではの特例なので、一般車両には認められていない。
交差点に進入する救急車のイメージ画像はこちら
これらの特例に頼らずに緊急車両に離されないよう追走するのは実質的に不可能。緊急車両の追走自体は法規に抵触するものではないにせよ、その他の条件をクリアして合法的に走りつづけるのは現実的ではないといっていいだろう。
また、ルールはともかくマナー的に問題視されるのは明らかで、その様子をドライブレコーダーやスマホで録画されてSNSなどにアップされた場合、いろいろな意味で社会的制裁を受ける可能性も出てくる。そういう意味で、たいしたメリットもなく、リスクばかり大きいことを考えると、緊急車両を追走することは控えておくべきだろう。