「空飛ぶサメ」はデザインのプロも絶賛! 中高生が描く「未来の乗り物」を見れば日本の自動車業界は心配ナシ!!

この記事をまとめると

■「第13回モビリティデザインコンテスト」の表彰式が開催された

■大賞受賞作品は星野眞吾さんの『SKYSHARK-自然を汚さない乗り物』

■本コンテストは「世界をリードするモビリティデザイナー」の誕生を目的としたもの

モビリティデザインコンテストの表彰式を開催

 3月24日、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)において、「第13回モビリティデザインコンテスト」の表彰式が開催されました。これは、公益社団法人自動車技術会傘下のデザイン部門委員会が企画する「モビリティデザイナー人材育成プログラム」の一環で、感受性が高く、人生観や職業観の形成期にある中高生を対象としたコンテストです。

 13回目の開催となる今回のテーマは、「10年後の暮らしを楽しくする乗り物」。毎回300件前後の応募がありますが、今回も249件(高校生235件、中学生14件)と多くの作品が寄せられました。

 審査は「テーマに沿っているか」「自分が考えているイメージや機能が絵に表現されているか」「新規性、進歩性、独創性、実現性」などを視点にデザイン部門委員会が実施。佳作のほか、工学的な工夫に優れた「ダビンチ賞」、イメージや機能がもっとも優れて絵に表現された「モビリティデザイン賞」、創造性に優れる「審査員特別賞」、そしてトータルでもっとも優れた「モビリティデザイン大賞」で構成されます。

●疾走する快適さと社会課題の解決

 さて、同会の厳正なる審査の結果、今回のモビリティデザイン大賞に輝いたのは星野眞吾さん(安城市立安城北中学校3年生)。なんと今回初めての応募でいきなりの大賞受賞となりました(そのほかのおもな受賞は下記に掲載)。

 作品名は『SKYSHARK-自然を汚さない乗り物』。文字通りサメ型の流麗なボディは、海面上のジェットスキーから供給される水を噴射することで飛行するという斬新な発想。さらに、地上では水上バイクを本体に格納、水力発電を動力に飛行する仕組みです。

 サメの胴体やヒレをモチーフとしたデザインがまず秀逸ですし、本体へ送る海水は水上バイク内で浄化されるという仕組みも見所。3色のボディカラーの提案もさりげなく魅力的に描かれています。

「小さいころからクルマを描くことが好きで、今回、偶然このコンテストのことを知って応募しました。この作品は、以前テレビで観た水上バイクがヒントで、人間をクルマに変えれば便利な乗り物になると思ったんです。サメをモチーフにしたのは泳ぐ速さからで、快適に飛行しつつ海洋汚染の問題も解決することを意図しました。将来に向けてはゲーム業界に興味があるのですが、クルマのデザインも続けたいと思っています」(星野さん)

 表彰式後には、各自動車メーカーの現役デザイナーにより、応募作品のブラッシュアップを試みるワークショップが行われました。各受賞者は「プロのデザイナー」によるアドバイスと、最新の描画ソフトを駆使し、よりクオリティの高い表現に挑戦、大きな刺激を受けていたようです。

●もの作りの面白さを発信するために

 さて、近年では高校の授業で「探究活動」が導入され、身近な問題を始めとした社会課題の解決を扱うことが多くなっています。今回も高齢者の移動や農業問題など、単なる走る楽しさ以外へ目を向けた作品が目立ち、中高生の意識の高さが感じられます。

 一方で、最近の中高生はマンガやイラスト好きが圧倒的に多く、美術大学への進学ではいわゆる「平面デザイン」が人気であり、カーデザインを含めた「もの作り」系学科の倍率は一様に低い傾向にあります。

 本コンテストの目的は「世界をリードするモビリティデザイナー」の誕生ですが、デザインそのものの解釈が広がるいま、モビリティという「モノ」と同時に、「コト」の体験を含めたより広義のデザインを意識することで、より多くの才能が集まることを期待したいところです。

【おもな受賞者(敬称略)】

モビリティデザイン大賞:星野眞吾(安城市立安城北中学校)
モビリティデザイン賞:鈴村新太(麗澤瑞浪中学校)、和田真都佳(女子美術大学付属高等学校)
ダビンチ賞:山﨑真穂(麗澤瑞浪中学校)、岩田優一(愛媛県立八幡浜高等学校)
審査員特別賞:鵜殿正基(千葉県立船橋高等学校)
他、佳作23名


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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