AT仕様のGRヤリスがスーパー耐久に挑む! ポテンシャルはMTと変わらんって凄くないか? (2/2ページ)

ATでもMTと遜色なし!

 GRヤリスDATがスーパー耐久にデビューしたのは2024年の第5戦・もてぎ大会で、それまで水素エンジン搭載のカローラでST-Qクラスに参戦していたORC ROOKIE Racingが初めてGRヤリスDATを投入。実戦のなかでマシン開発を担っていたが、DATのレーシングカーも最終的な煮詰めの段階に入ってきたのだろう。前述のとおり、2025年はGR Supra GT4 EVO2の開発実績をもつGR team SPIRITがGRヤリスDATの開発を引き継いでおり、開幕戦から素晴らしい走りを披露していた。

 同じGRヤリスながら、DAT仕様車はMT仕様車に対して車両重量が約20kg重くなっているほか、ミッションやデフを冷却するためのクーラーもMT仕様車に対して数を増やすなど、重量増を覚悟してでも冷却を強化。

 そのため、ST-2クラスに参戦していたMT仕様のGRヤリスと予選タイム(AドライバーとBドライバーの合算タイム)を比較しても、ST-2クラスでGRヤリス勢のトップタイムをマークした225号車「KTMS GR YARIS」の4分09秒939に対して104号車「GR Yaris DAT Racing Concept」は4分13秒105と約3秒のタイム差があったが、ドライバーの評価は高く、「DATのレーシングカーで初めてレースに参戦するんですけど、シフトアップにしてもシフトダウンにしても適切なギヤをクルマが選んでくれますからね。それに対してストレスがほぼない状態なので、よくできていますよね」と山下選手はインプレッションしている。

 さらに松井選手も「DATのレーシングカーは初めてですが、いい意味で普通に走れますね。MT車両と比べても遜色もないし、ストレスもありません。ドライブモードで両手をステアリングに集中できるのはドライバーとしてもありがたいし、マニュアルモードにしてもiMTといってヒール・アンド・トゥを勝手にやってくれる制御がついているので、それで走ってもおもしろい。比較はしていないけれど、たぶん、GRヤリスのMTモデルでアタックしたとしても、タイム的にはあまり変わらないんじゃないですかね」と評価が高い。

 事実、予選タイムこそ、MTモデルとDATモデルで大きな開きがあったが、レース中のベストラップで比較すれば、MT車両の225号車がマークした2分07秒398に対して、DATの104号車がマークしたタイムが2分07秒747と僅差の状態。プロが担当するBドライバーのテクニックでは、MT車両とDAT車両はほぼ遜色のないレベルになっているようで、ST-Qクラスに挑む104号車の改造範囲が市販車モデルの延長線……ということを考えれば、DATモデルはMTモデルと同等のパフォーマンスにあるといえるだろう。

 もちろん、DATモデルにも課題はあるようで、「路面やタイヤの状況によっては、ひとつ下のギヤ、ひとつ上のギヤを選びたいときはあるので、そこを詰めていく必要がありますね」と山下選手が語れば、松井選手も「ドライブモードとマニュアルモードを試しながら走っていますが、フィーリング的にはドライブモードで乗っていきたいところなので、おいしいところを見つけていきたい」とのこと。

 逆にいえば、2025年のスーパー耐久を通して、GR team SPIRITがよりDATを鍛えてくれるだけに、今後もGRヤリスDATの進化に注目したい。


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