ホンダのスタートアップ支援プログラムからまた面白い企業が誕生! 「海の見える化」を実現する「UMIAILE」の取り組みとは (2/2ページ)

独自ASVをコアに海洋観測の変革を目指す

 その社名が示すように、UMIAILEの目標であるのが「海の見える化」だ。地球を取り巻く社会問題の解決に貢献するために、海洋データを高頻度、高密度かつ定量的に観測、蓄積することを目指している。

 従来の有人船舶による海洋観測は、ヒト・モノ・カネといったあらゆるリソースを膨大に要求するために、観測の頻度や密度を高めることが難しいという課題を抱えていた。そこでUMIAILEは、独自にASV(Autonomous Surface Vehicle)=自律航行型無人船を開発し、データプラットフォームとあわせて現状の海洋観測が抱える問題の解決を掲げている。

「UMIAILE ASV」は、坂井さんの研究分野でもある独自の船体姿勢制御技術によって、高速・高効率な航行を実現。動力用パワーユニットには船体上面のソーラーパネルからも給電できる電動モーターを採用し、長時間の観測を可能としている。また、目的に合わせて多様な観測機器の搭載に対応しながら船体をコンパクトサイズに収めた点も見逃せない。

 海洋観測における「UMIAILE ASV」の具体的なユースケースとしては、海底地殻変動観測や海洋生態系調査、気象・海象観測にくわえ、漁業の効率化への利用も想定しているという。相模湾においての実海域テストもすでに行われているとのことだ。

 前述のように、さまざまな用途への対応を見込めるUMIAILEだけに、ビジネスモデルとしての注目度も高い。2023年時点では439億ドルの市場規模をもつ無人海洋機市場であるが、その成長率は年平均で15.3%と極めて高く、2030年には1189億ドルの規模まで発展することが見込まれている。

 発表会では、スタートアップへの投資事業を行うインキュベイトファンドの岩崎遼登氏も登壇。無人海洋機市場の成長性と日本国内での急速な盛り上がりに注目するとともに、UMIAILEがベンチャーのスピード感とホンダという信頼感あるバックボーンを併せもっていることが大きな魅力であり、ASVは小型無人海洋機として注目に値するプロダクトであるとコメント。UMIAILEへの期待をあらわにした。

 UMIAILEが日本の海洋産業や環境保全にどのような変革をもたらすのか期待するとともに、ホンダのIGNITIONプログラムが生み出す新たな挑戦にも注目してゆきたい。


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