ついに日本のEVバスが配備完了! バスオタライターが早速「エルガEV」に乗りバスして感じた一歩先行く性能とは

この記事をまとめると

いすゞ・エルガEVが東武バス・ウエスト竹の塚車庫に納車され営業運行を開始した

■実際に乗ったエルガEVは加速性能に優れ静粛性や乗り心地もかなり好印象であった

■今後も日の丸BEVバスと世界のBEVバスとの性能争いは続く

営業運行を開始したエルガEVに乗ってきたぞ

「日の丸BEVバス」として、2023年秋に開催されたジャパン・モビリティ・ショーに出品されたのが、大型路線BEVバスとなる「いすゞエルガEV」。そのエルガEVが、首都圏では最速ペースで東武バス・ウエスト竹の塚車庫に納車され、2025年2月28日(金)より営業運行を開始したというので、さっそく3月上旬にエルガEVに乗客として乗り込むため、東武スカイツリーラインの竹ノ塚駅へ向かった。

 エルガEVバスは竹ノ塚駅西口発着の路線で運行しているという情報を頼りに、竹ノ塚駅西口駅前からバス停のある赤山街道へ向かうと、ちょうど回送で車庫に帰るために信号待ちしている、東武バスカラーのエルガEVにいきなりファーストコンタクトすることとなり、年甲斐もなく我も忘れて興奮しながらエルガEVを撮影してしまった。

 竹06新里循環という、竹ノ塚駅西口を発車して再び竹ノ塚駅西口へ戻ってくる循環路線で運行されていた。バス停で待っているとICE(内燃機関)バスがきたので、この次はエルガEVとアタリをつけやりすごして待っていると、東武スカイツリーラインの高架脇の道からエルガEVが現れた。

 ドアが開き車内に乗り込むと、ICEバスの新車とは異なるように感じた新車の香りが充満していた。扉側最前列席(通称オタ席)は設置されていないので、中扉すぐ後ろの席に座ろうとしたら、そこは優先席となっていたので、扉側最後列窓側に座ることにした。

 エルガEVでは最後列席はそのひとつまえの席が進行方向反対側を向く、つまり対面式となることもあり、足もとも広く乗車したときはガラガラでもあったので、足もとがより広く感じて快適であった。竹ノ塚駅西口から乗ってきたお年寄りも、「あれっ、新しいバスだねえ」とすぐにいままでのICEバスとは異なる車内に反応していた。

 発車時間となり前扉が閉まり、バス停すぐ前にある交差点の信号が青になってからバスは発車した。日本国内はもとより、海外出張先でもBEV路線バスが走っていれば可能な限り「乗りバス」して楽しんでいる筆者だが、エルガEVの発進加速のよさは群を抜いていた。最後列席に座っていても「速いなぁ」と感じるほど加速性能はほかのBEV路線バスとは次元が異なるといっていいほど、とにかく秀逸であった。

 ほかのBEVバスより重いこともあるのか、走行している印象は重厚さも目立って感じた。ただ、長きにわたりICEとなるが日本の路線バスを作ってきただけあり、静粛性や乗り心地もかなり好印象であった。中国メーカー系のBEV路線バスは日本国内でも多く走っているが、とくに見劣る部分というものはないが、エルガEVに比べると、バスとして全体を見ると「詰めの甘さというものがあるなぁ」とも感じた。

 課題としては手作り感覚ともいえるほど、まだ本格的な量産体制に入っていないことを挙げることができよう。

 いままで述べてきたことは、あくまで乗客として乗り込んだバス愛好家が感じたことであり、車両を所有して日々営業運行するバス事業者とは視点の異なる見方をしている。現状、日本国内ではサイズに関係なければ、中国、韓国、トルコなど世界のバスメーカーのBEVバスが運行している。そのなかで満を持してまさに公道デビューしたエルガEVのデキは「日の丸BEV」を標ぼうするだけの出来となっていた。

 ただ、BEVバスで世界的にリードする中国BYDオート(比亜迪汽車)をはじめ海外勢は、ブラッシュアップのスピードがとにかく速いので決着がついたわけではなく、今後も続く日の丸BEVバスと世界のBEVバスとの性能争いというものもまだまだ見逃せないものとなっているのも確かである。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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