デジタル化の思わぬ弊害も
諸外国ではスマホ表示できるデジタル免許証の導入が始まっているが、諸外国でも「リアル免許証」を残しつつ任意対応しているようなので、慎重にもみえる日本のマイナ免許証の対応はマイナ保険証ほど強引でもないし、世界的な流れに沿っているものといえる。国内でもデジタル免許証のようなものが登場してくるのはそう遠くないだろう。
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もちろん、海外にマイナンバー情報を読み取る機器などは存在しない。そうなると、海外でクルマを運転する際には、運転免許証と国外運転免許証(国際免許)が必要となる。日本の運転免許証だけあれば運転行為自体に問題はないとされているが、すべて日本語表記なので、その翻訳版ともいえる国外運転免許証ももっていたほうがいいというのが一般的。レンタカーも翻訳サービスなどを開設しているところもあるが、やはり国外運転免許証はもっていたほうが無難だ。
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一般ドライバーにおいてはマイナ保険証のような大きな混乱はないだろうが、プロドライバーの世界では話が変わってくる。タクシーやバスといった業界では、出庫時に運転免許証を偽造かどうかを確認するために、運行管理者は直接触りながら有効期限などをチェックしている。
今後はマイナ免許証用の読み取り機を導入することになるだろうが、その機器導入コストもバカにならないだろう。中小零細事業者では従来の運転免許証を今後も保有するように運転士に協力をもとめていくことになるかもしれない。マイナンバー制度が利便性を向上させるたびに、民間にそのしわ寄せがきているといってもいいだろう。
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マイナンバーカードをもっていることで、コンビニの多機能プリンターで住民票を発行することができて喜んでいるひとを見たことがある。たしかにマイナンバー制度の普及やサービス拡大はメリットのあることなのかもしれないが、そのメリットのインパクトがそれほど大きくないのも実状であり、国民に広く理解されていないなか、システムへの不安もなかなか払拭されていないのが現実だ。
マイナ免許証もしばらくは現場での混乱も目立つだろうが、せっかく導入したのだから、そのメリットを多くのひとが不安なく享受できるシステムへとブラッシュアップしていってもらうことを願うばかりである。