この記事をまとめると
■2025年3月24日より「マイナ免許証」が開始
■従来の運転免許証が使えなくなるわけではなくユーザーに選択権が委ねられている
■利便性が向上するも現状はメリットが少なく制度への不安や課題も残る
マイナ免許証がとうとうスタート
2025年3月24日(月)より、通称「マイナ免許証(マイナンバーカードと運転免許証の一体化)」がスタートした。「マイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)」では、従来の健康保険証の新規発行が停止され、実質的にマイナンバーカード発行が義務化になると大騒ぎとなった。いっぽうのマイナ免許証では従来の運転免許証の発行も残り、①マイナ免許証に一本化、②マイナ免許証と運転免許証両方、③従来の運転免許証のみ、の3択のなかから運転免許のもち方を選ぶことになる。
マイナ免許証のメリットとしては、更新や新規発行などの手数料が安く、更新時講習をオンラインで受講可能(マイナ免許証のみの場合)、住所変更について警察署での手続きが不要になること、さらに住所地以外での更新の迅速化、申請期間延長といった点が紹介されている。ただし、講習はオンラインで受講できても、視力検査などは免許センターなどへ出向く必要がある。また、マイナ免許証にする際には事前にオンライン予約が必要となる。
保険証と運転免許証がマイナンバー免許証に一本化されるイメージ画像はこちら
しかし、そもそもマイナンバーカードの所有は国民の義務ではないので、国民全員がもっているというわけではない。総務省によると、2025年2月末時点での普及率は78%となっている。年齢別の交付状況をみると、年齢が高まるごとに保有率が低くなるのかと思いきや、成人だけをみると、25歳から29歳の層が70.7%ともっとも低く、20歳から49歳あたりでは各年齢層で78%を下まわっている。
つまり、仕事や日常生活で日々クルマを運転する年齢層では、マイナ免許証に興味があってもまずマイナンバーカードの発行からはじめなければならない層が意外なほどいることになる。紛失した場合の再発行手続きが従来の運転免許証を紛失した場合より面倒になってしまうというデメリットも意外に大きい。
従来の運転免許証画像はこちら
あるウェブサイトでは、「従来の運転免許証とマイナ免許証の両方をもっているのがベスト」としていた。なかば強制的に一体化させてしまったマイナ保険証よりは選択肢が残されることとなり、マイナンバー制度がめざす「ワンストップサービス」の実現にはほど遠いのがマイナ免許証の置かれた現状だ。マイナンバー制度が必要か不要かの議論以前に、その迷走ぶりが目立ってしまっているといえるだろう。
すでにスマホにマイナンバー機能を搭載することが可能となっているので、スマホ世代には「なんでもスマホでできる」ことは便利このうえないのかもしれないが、オジさん世代の筆者などではそこに不安も感じてしまう。ただ、スマホをマイナ免許証としては使えないなど、サービスのチグハグさも目立っている。