この記事をまとめると
■3代目ラルゴは初代セレナをベースにした上級ミニバン
■ハイウェイスターの登場で若者層にも人気を獲得
■エルグランドやセレナの登場により1999年に生産終了
現代に通じるミニバンの先駆け的な1台
1993年に登場した3代目ラルゴは、初代セレナをベースにしたキャブオーバー型の上級ミニバンだった。3ナンバーサイズのボディに加え、対面シートアレンジやデュアルエアコンなど、快適性に優れた設計が特徴。1995年にはスポーティなハイウェイスターが登場し、若者層にも人気を博した。しかし、エルグランドや新型セレナなどの登場により、ラルゴは1999年に生産終了となった。
現在、日産にラインアップされる上級ミニバンは、初代が1997年に登場したエルグランドの3代目モデルのみになっているが、じつはそれ以前の日産の上級ミニバンとして、3代目ラルゴ(W30)が存在した。
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1993年にフルモデルチェンジを行った3代目ラルゴは、初代セレナ(C23)をベースとしたキャブオーバータイプの上級ミニバンだ。5ナンバーサイズだったセレナとプラットフォームを共用しながら、全長4585×全幅1745×全高1835mm、ホイールベース2735mmの大柄なボディをもち、リヤスライドドアを備えた3列シート、7/8人乗りの3ナンバーサイズとなっているのが、セレナとの大きな違いである。
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2代目までのワンボックスタイプとちがい、ボンネットをもつ現在のミニバンルックになったのがこの3代目ラルゴでもある。特筆すべきはエンジンを前席下に搭載したことで、前後重量配分がほぼ50対50になっていたこと。そしてフロアに配置された4速ATのシフトレバーによって、インテリアにも乗用車テイストをもたらしたことがポイントだ。
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ラルゴの開発コンセプトは「高質で快適なドライバーズワゴン」というものだった。いま見ればミニバンそのものだが、当時はミニバンというジャンルが市民権を得ておらず、ドライバーズワゴンという呼び方をしていたのだろう。ミニバンというジャンルを世に広めたのは、3代目ラルゴが登場した翌年、1994年にデビューした初代ホンダ・オデッセイからということになるはずだ。
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ラルゴのミニバン色を強めたのが、1995年の一部改良時に加わったオーテックジャパンの手によるハイウェイスターだった。そのハイウェイスターは、1996年のマイナーチェンジを機にカタログモデルに昇格。セレナにあったマルチスライドシートもこのタイミングで一部グレードに設定されている。これをきっかけに、ファミリー層や中高年層だけでなく、すでにミニバンという新しいジャンルのクルマに興味津々の若者層にも、エアロスタイルのハイウェイスターがウケることになったのだ。
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その背景には、CMソングに矢沢永吉の「しなやかな野獣たち」が採用されたこともあったはずである。若者層ユーザーがカスタマイズに走ったのも、ブルーのボディサイドストライプが入ったハイウェイスターのカッコよさ、4か所のパノラマルーフによる室内の解放感などを考えれば当然ともいえた。