名物のオーバルトレーニングは奥が深い!
午後はサーキットにパイロンを置いて作られたオーバルコースの走行だ。とくにロングオーバルコースでは、とにかく速く走ることを頭において、いろいろなことを試す。アンダーを出すこともあればリヤが流れてカウンターなんてこともあるのだが、それもまたOK。なぜそうなったのかを考えつつ、ほかのプログラムで学んだことを活かせば、徐々に理想のラインかつ速さを引き出すことができる。

ただオーバルをぐるぐる回るなんて……と思うかもしれない。実際、傍から見ていた帯同カメラマンも「アレって飽きないんですかね……なんて話していたんですよ」とあとで教えてくれた。このオーバルも回る方向を1スティントごとに変えて、「飽きるほど」走ったのだが、結果、飽きはまったくこなかった。なんならまだまだ走っていたかったほどだ。

さて、編集部にやってきて初めて全開にしたメガーヌR.S.だが、コーナーの出口でラフに踏めば簡単にホイールスピンを起こすトルクフルなエンジン、MT同様のダイレクトさと、絶対に人間の手では不可能な速度の変速を実現する6速EDCは、もうサーキットこそが棲息地といって過言ではないパフォーマンスだった。慣らし期間中にゆったりと走行した市街地や高速での扱いやすさを考えれば、驚きのパフォーマンスといえる。
サスペンションは、正直公道では硬めだ。だが、ちょっとスーパーまで、が苦痛になるかといえばそういった類いのものでなく、慣れた人なら心地いいと感じるような硬さといえばいいだろうか。それはダンパーやブッシュの質によるもので、細かな路面のギャップを感じさせはするが、突き上げの角はしっかりととられている。といってももちろんダンパーはコンプレッション側もテンション側もしっかりと利いていて、安定性は高い。

驚くのは、リヤがトーションビームということだ。このクラスのクルマではダブルウイッシュボーンを採用するモデルも多く、当然リヤタイヤの接地性という意味で、トーショーンビームは不利になりがち。だが結論からいえば、かなりフラットな路面とはいえ相当なロールをさせるような走りをしても、245/35R19サイズという幅広低偏平のタイヤの接地性変化が大きく起こることはなく、非常に安定したリヤの動きを示してくれた。これがもう公道の走りを捨てたようなガチガチな足まわりならわかるが、前述したとおりに公道でも十分に使える足まわりである。
試しに路面が荒れたワインディングでも試したのだが、安定かつ質感の高い走りという印象に変わりがなかったこともお伝えしておきたい。いやはや、改めてメガーヌR.S.ウルティム、クルマ好きにとって運転していて楽しいクルマであると、自信をもってオススメできる。
