徹底的に荷重移動とタイヤの使い方が学べる!
まず午前中は低速ブレーキ、高速ブレーキ、スラロームを時間がある限り繰り返し走行。本当に止まって見ている時間などないほど何度も走行できる。
スラロームはタイムを測るわけではないが、とにかく「速く走る」ことを目的としてアドバイスを受けつつ自分なりに詰めていく。結構ドラテクのスクールでは「速さ」よりも「丁寧さ」を最初に重視するものも多いのだが、「速く走ることが目的」といい切って走らせることもまた、珍しい。結論からいってしまえば、丁寧に走らせなければ速く走れないことに行きつくのだが、まずは思いっきり走らせつつその結論に気がつかせるという点が、参加者を夢中にさせる要因でもあるのだろう。

そんなこんなで走行し始めると「1本目までもっと全開で加速して!」なんて指示も飛んできた。たしかに全開で切り返すことで、荷重移動が上手くいかなければ揺り戻しが大きくなり、車体は不安定になることが手に取るようにわかる。パイロンを弾き飛ばすクルマもいるが、それも含めて学びという姿勢のスクールなので、たとえ初心者でも間違いなく殻を破れるハズだ。しかも、走り終えてから指示を受けるのではなく、走行中にFMラジオからリアルタイムで「●●さんもっと踏んで!」などのアドバイスが飛んでくるので、その場で実践できるのもいい。
このパイロンスラロームでは、メガーヌR.S.ウルティムの4コントロール(4WS)の特性が非常によくわかる。60km/hを超える速度で旋回する比較的高速スラロームなのだが、スポーツモードを選択すると、この速度域ではリヤが同位相に切れるため、連続して左右に転舵しても姿勢はかなり安定している。

だが、レースモードにするとリヤが100km/hまで逆位相にステアするため、スポーツモードに比べてクルッとパイロンをまわり込むような動きになり、連続の切り返しではリヤに慣性が残るようなイメージでうっかりするとハーフスピンするような挙動になる。

ではレースモードは扱いづらいのか? といえそうではない。フロント2輪操舵のクルマに比べて、リヤが逆位相に切れるということでフロントタイヤに近い軌道をリヤタイヤが通るから、内輪差が少なくなる。つまり、スポーツモードよりもパイロンに近寄った状態でステアリングを切り込んでも、リヤがパイロンタッチすることがないのだ。それを理解すれば面白いほどスイスイとスラロームを抜けることができるのだ。

私自身も目から鱗だったのは低速ブレーキで、40〜60km/h程度で1本目のパイロンからブレーキングを開始。次のパイロンで停止するという、聞けば簡単なもの。もちろんパイロンの間隔には余裕があり、フルブレーキすれば半分ぐらいで止まれるような設定。だが、ここではブレーキング開始から少しずつ踏力を強めていって、2本目のパイロンで止まる練習をするのだ。一気に減速するのでも、一定の減速度を保つのでもなく、少しずつフロントの荷重を増しながら減速していくという練習で、これがじつに難しい。だが、荷重コントロールという運転の基礎であり究極でもある技術の習得には絶対に必要と実感できるものでもある。
