この記事をまとめると
■編集部の新スタッフカーのメガーヌR.S.ウルティムでユイレーシングスクールに参加
■名門ジムラッセルでも講師を務めたトム吉田氏が主催
■メガーヌR.S.の4WS性能の強みが明らかになった
参加車両はミニバンでもSUVでも軽自動車でもOK
「石田さん考えすぎないよ!」「そのままの速度で切り込んで!!」車内のFMラジオから流れる音声を聞きながら全開で走行を続ける。クルマは編集部にやってきて、慣らしが終わったばかりのメガーヌR.S.ウルティムだ。なんとも新鮮な気もちになるし、自分の運転を見直すポイントがいかに多いことか!

先日、お誘いをいただいた、「ユイレーシングスクール」の終盤のひとコマだ。こういったドライビングレッスンに参加するのは、恐らく15年ぶり……ひょっとするともっと間が空いているかもしれない。つまり、以前参加したのは正確な記憶がないほど昔のことだ。この業界に入りたてのころは積極的に手を上げて、ガソリンにタイヤにブレーキと、常に庶民の走り好きを悩ませる消耗品にかかるお金をかけることなく取材で走れるなんて夢のようだと、あらゆる機会に参加した。その後は草レースからJAF公式戦、カートレースにも参戦し、日本国内の名だたるサーキットは走行経験があるし、走らせたという意味ではF4マシンでアブダビのヤスマリーナサーキットも走行したことがある。
幸いにも、本物のレジェンドレーシングドライバーたちと日々仕事をしているお陰で、自分の運転にはまったく天狗にならずに済んでいる。だが、これまで軽自動車からスーパースポーツに至るまで、おそらく数百台のクルマに試乗し、雪道からサーキットまで走行してくると、アマチュアとして「それなり」の自信は身についてしまう。その自信は「上手い」というものではなく、自分の限界域を掴んだというほうが正しいかもしれない。このクルマと自分の腕ならここまでは行ける、この先の領域は避けたほうがいい、といったものであり、その範囲内なら操る自信がある、といった類いのものだ。

そう考えるとある意味自分を型にはめてしまった私だが、タイミング的にも新たに編集部にやってきたメガーヌR.S.ウルティムの限界性能を確認できるという機会に、走り好きが揃うWEB CARTOPの若手編集部員を押しのけ……いや、実際はこんな機会があるということさえナイショにして参加することを決めた。
ユイレーシングスクールを簡単に説明すると、もともとアメリカでレースに参戦し、その後名門ジムラッセルレーシングスクールで講師に就いていたトム吉田さんが日本で開催しているドラテク教室である。

参加は、ベテランだろうが初心者だろうが誰でもOK。実際同日の参加者のなかには、かつて本気でレースに取り組んでいた方、このスクールを10回以上受講しているヘビーリピーター、友人に誘われたので初めて参加してみたという方など、腕も経験もまちまちという感じだ。
さらにクルマは何でもいいのだという。とはいえ今回の参加車両を見ると、メガーヌR.S.にルーテシアR.S.、シビックタイプRにGR86といった走り系のクルマがほとんど。何でもいいとはいえ……と思いトム吉田さんに聞くと「本当にどんなクルマでもOK。前にデリカD:5とかジムニーで参加した方もいましたよ」という。これだけでも唯一無二感のある面白いレーシングスクールだ。

走行メニューは、直線ブレーキングが2種、パイロンスラローム、そしてパイロンを置いてのショートオーバル(楕円形コース)、ロングオーバルで、スラロームやオーバルは全開走行を行う。これをミニバンとかクロカンSUVで……と思ったが、トム吉田さんは「どんなクルマでも4つのタイヤの荷重をコントロールすることが大切という点は同じ。スクールに参加したらそのあとはぜひレースを経験してほしいけれど、どんな道でもこの荷重コントロールは重要なので、役に立つ」という。
スクールはまず座学からスタート。とはいえ難しい内容を延々と、という感じでもない。テキストは4輪の荷重とアンダー、オーバー、ニュートラルステアの理論がシッカリと図解してあるのだが、簡潔に説明をするとすぐにコースに出てどんどん走る、というものだ。そう、とにかく走行時間が長いのがこのスクールの特徴である。
