アルファードはヴェルファイアよりもフワフワ感がある
次にアルファードPHEVに乗り換える。若干ステアリング操舵応答がマイルドに設定され、走り出すと違いがすぐに感じ取れる。乗り心地もアブソーバーの特性が変更されていて、より穏やかな乗り味に仕立てられている。
ただバネ上の動き、つまり車体全体がフワフワとした乗り味で、スプリングレートも異なっている印象がある。個人的にはヴェルファイアのずっしりとした安定感のほうに好感がもてた。
直進性もアルファードPHEVはステアリングセンター付近の捕舵力が少し軽い。転舵時の操舵力も軽くて女性でも扱いやすい特性といえるだろう。
トヨタ・アルファードの走り画像はこちら
PHEVのモーター駆動特性や航続距離などはヴェルファイアと同様で、静かな室内空間や上質さも同等で変わりない。
今回のアルファード/ヴェルファイアPHEVで唯一気になったのは、各シートにランバーサポートがついていない、というところだ。長時間運転すると腰への負担が大きくなり、とくにドライバーは体のサポート性が重要なので、ランバーサポートは疲労度軽減という意味でも装備してほしい。2列目シートは左右独立のキャプテンシー仕様でマッサージ機能も装備されているが、そこにもランバーサポートがないのは残念に感じた。ただ、ユーザーからの要望が大きく、今後は装備に向けて改善が図られる可能性はありそうだ。
試乗する中谷明彦さん画像はこちら
アルファードとヴェルファイアで乗り味は多少異なるが、PHEV化でフラッグシップミニバンとしての完成度は極まった印象だ。すでに中国や台湾にも輸出して大人気を博し、世界中から注目を集めている。今後、海外からの要望でさらに大きくなってしまうと、国内では使い勝手が悪くなってしまうだろう。現在のサイズ感がちょうどいいのだ。
レクサスLMのような装備を施していくと、重量が嵩み、重心も高まる。操縦性としてはPHEV化でもっとも好ましい特性となっているのだ。
トヨタ・アルファードのフロントスタイリング画像はこちら
V2H(ヴィークルtoホーム)はガソリンエンジンを発電機とすれば、家庭用5.5日分の予備電源車として機能させられる。室内がこれだけ快適だと、災害時にもある程度の時間を快適に過ごせるだろう。そういう意味では、キャンピングカーを所有しているのと同じくらいの使い勝手があるわけで、さまざまなシーンで活用できる。PHEVの登場でアルファード/ヴェルファイアの魅力は頂点に達したといえるだろう。
試乗車主要諸元表画像はこちら