この記事をまとめると
■全日本ダートトライアル選手権に現行トヨタ・プリウスが出場した
■改造範囲が少ないPNクラスへの参戦
■ハイブリッドによるパワーとトルクを活かした今後の活躍に期待
次世代のダートトライアルマシンが全日本選手権にデビュー
3月15〜16日、2025年の全日本ダートトライアル選手権・第1戦が三重県のいなべモータースポーツランドを舞台に開催された。粘着質なウエット路面のなか、新設のD1クラスを筆頭に続々とニューマシンが参戦し、各クラスで激しいタイム争いが展開されたのだが、そのなかでひときわ注目を集めていた1台が、PN2クラスに参戦したトヨタ・プリウスだといえるだろう。
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気筒容積1600ccを超える前輪駆動車を対象とするPN2クラスは、マシンのパフォーマンスを考慮してか、ここ数年はスズキ・スイフトの実質的なワンメイクになっているのだが、このPN2クラスに太田智喜選手が、トヨタのハイブリッドモデル、プリウスを投入。
マツダの関連会社に勤務する太田選手は、これまでマツダ・デミオ(DJ型)を武器にPN1クラスに参戦してきたのだが、「2017年からデミオで活動してきたので、そろそろ買い替えようと思っていました。現行モデルとして購入できて、ダートトライアルが楽しめそうなクルマを探していたんですけど、マツダのラインアップとしてはPN2クラスで戦えそうなクルマがなかった。で、トヨタをみたところ、プリウスはかっこいいし、パワーもあるので試乗してみたところ、懸念していた電子制御にもクセがなく、レスポンスもよかった」との理由から、前述のとおりマシンをプリウスにスイッチし、PN2クラスにチャレンジすることになった。
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ちなみにプリウスとしては、これが全日本選手権のデビュー戦にあたる。PN車両は改造範囲が狭く、太田選手のプリウスも、オクヤマのロールケージ、オーリンズのダンパー、サスペンションプラスのスプリング、ブリッドのバケットシート、オクヤマのフロアガード、レイズのホイール、ダンロップのダート用タイヤを除けば、ほぼ純正パーツをそのまま使用する。
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太田選手によれば、「ロールケージやダンパーとスプリングはプリウス用のモデルがなかったので、ワンオフで作ってもらいました。プリウスは電動パーキングブレーキ使用のためリヤのキャリパーが大きく、装着できるホイールを選ぶのですが、なんとか15インチのレイズが装着できました。変更した部分としてはそれくらいで、ブレーキ関連はパッドを含めてノーマルです。ダートトライアルの普及も考えているので、LSDを装着する予定はなく、ノーマルでも十分に走れるということをアピールしたい」とのことだ。
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太田選手のプリウスはほぼノーマルといった状況だが、それでもマシンの潜在能力は高く、「土曜日の練習走行ではじめてダートコースを走りましたが、十分に勝負できると思いました。トルクがあるのでトラクションもかかるし、ハンドリングも素直でコントロールがしやすい。デミオに対して400kgぐらい重たいんですが、ダートコースでは気になりません」と太田選手はインプレッション。事実、デビュー戦となった今大会でも太田選手は安定した走りを披露していた。
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リザルトとしては、残念ながら12位に終わったが、ライバル車両に対して抜群のパワーとトルクをもつだけに、太田選手の得意とするハイスピードコースでは上位争いに絡んでくる可能性が高い。今後もプリウスのダートトライアル仕様車に注目していきたいところだ。