「空車」だから手を挙げたのに無視された? 元タクシードライバーが解説する「空車タクシーが止まってくれない」ワケ

この記事をまとめると

■タクシーを呼んでも止まってくれないケースが存在する

■よくあるのはスーパーサインの切り替え忘れだ

■安全に止まれなさそうな場所だとそのままスルーされる場合がある

手を挙げてるのになんで止まってくれない!?

 タクシーは、原則として乗車を拒否することができません。しかし、なかには「空車」なのに止まって乗せてくれないことがあります。では、なぜ「空車」なのにドライバーはスルーしてしまうのでしょうか。この記事では、空車のタクシーが乗せてくれない主な理由を、元ドライバーであった筆者が解説します。

乗せられない理由がある

 タクシーには、営業区域が定められており、乗客を乗せる場所または降ろす場所のどちらかが営業区域内でなければなりません。

 たとえば、あるタクシーが東京都港区で乗客を乗せて横浜市西区で降ろした場合、そのタクシーは横浜市内で乗って横浜市内で降りる乗客を乗せることはできません。しかし、運よく横浜市西区から東京都港区まで乗せてほしいという乗客であれば乗せることができます。

 そのほかにも、泥酔している人や不潔な服装をしている人、危険物を所持している人、定員オーバーになるなど、乗車を拒否できる明確な理由がある場合は、ドライバーが乗車を拒否することができます。

ドライバーのミスで乗れない場合もある

「空車」で走行しているタクシーに気づいてもらうべく、手を挙げてドライバーと目があったのにもかかわらずスルーされてしまったときは、ドライバーのミスが考えられます。

 よくあるミスは、「回送」と表示しているつもりが「空車」のままだったというケースです。この場合、明らかにドライバーのミスですが、運転している本人は空車のままになっていることに気づいていないため、「回送にしているのに何で手を挙げられたんだ?」と思い、スーパーサインを確認して初めて回送にしていないことに気づくことがあります。

 また、手を挙げている人にドライバーが気づいていないということも珍しくありません。タクシードライバーは、街なかを運転しながら乗車したい意思を伝えている人を探します。そのため、交通状況によっては歩道側への目配りができず、乗車したい意思を伝えている人に気づかないことがあります。

そのほかにも乗せられない理由がある

 空車で走行しているタクシーが手を挙げている人に気づいても乗せられない場合があります。それは、急停車になる場合や、タクシーを止められる状況にない場合などです。

 よくあるのが、タクシーが真横に近づいてから手を挙げるというケースです。走行している速度が遅い場合には止まれるかもしれませんが、幹線道路など速度が高い場所で突然止まるよう意思表示されても、物理的に止まることができません。

 そのほかにも、タクシーを止められる状況にない場所で、乗車したい意思を伝えられた場合も同様に安全に止まることができないためにスルーしてしまうことがあります。

確実に乗るためにはタクシーを呼ぶほうがいい

 タクシーに乗りたいものの、なかなか止まってくれないというときは、電話やアプリなどでタクシーを呼んだほうがよいといえます。

 タクシーを呼ぶと別料金が発生しますが、タクシーに乗ることができなかったために、電車・飛行機の乗り遅れや遅刻などをするより、追加料金を支払って確実にタクシーに乗って、約束の時間に間にあうよう手配したほうがよいといえるでしょう。


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齊藤優太 SAITO YUTA

ライター/インストラクター/ジャーナリスト

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