この記事をまとめると
■1980年代の最高速シーンの伝説「大川ソアラ」をオマージュした車両をTRUSTが製作
■大川ソアラにリスペクトを払いながらも現代的に再構築
■6M-GEU型エンジンにTD05H-18Gタービンを組み合わせ500馬力を発揮
最高速シーンで伝説となったマシン「大川ソアラ」とは
時は1980年代なかば。国内のチューニングシーンは、チューニング用ターボキットが隆盛しはじめて、大きな期待に包まれていました。その期待の向かう先のひとつが「最高速アタック」です。
いまはなくなってしまった谷田部の高速テストコースで「誰がいちばん速いか」を競うイベントが行われていました。その期待値を受けた巷のチューナーたちが奮起してチューニングに取りかかった結果、性能向上の技術は日進月歩で、アタック開始時点では250km/h台でしたが、数年で「目指せ300の大台超え!」という共通意識が芽生えるようになり、まもなくそれが達成されました。
そうした最高速アタックのなかで、頂点を極め続けた何台かの伝説的な車両があります。その伝説をオマージュして現代に生まれ変わらせた車両が、パシフィコ横浜において2月22〜23日で開催された「ノスタルジック2デイズ」に展示されていました。
TRUST トヨタ・ソアラのフロントスタイリング画像はこちら
この車両について紹介する前に、「大川ソアラ」について説明しなければなりません。大川ソアラとは、1980年代にチューニング界で起こった最高速ブームの筆頭アタッカーの一角で、最高速ホルダーの座をしばらく保持して伝説となった1台です。アタックが始まった当初は、空力性能に優れるとされたセリカXXをベースにチューニングを行うのが主流で、初めて国産車で300km/hの壁を破ったのはHKSが製作したセリカXXでした。
その後、チューニングの技術が進み、自然とチューナーが独自の色を出していくなかで、「トラスト」の立ち上げメンバーのひとりである大川氏がGTツアラーのトヨタ・ソアラで最高速に挑みました。エンジンはセリカXXでの経験を活かしてチューニングを施した5M-GEU型ベースで、当時の国産タービンで最強クラスの「TD06」をツインで装着。400馬力オーバーのパワーを引き出していたようです。
特筆すべきはボディや内装の仕様で、外観はほぼノーマルのままで、ホイールはごく普通のメッシュタイプ。内装に至ってはステアリングすら純正という、そのまま街乗りできるような状態でした。その後も大川氏は「ソアラ」で精力的に最高速アタックを続け、トップの座に何度もつきながら、最終的には6M-GEU型エンジンベースで316km/hという記録をマークしています。