足もとを支えるタイヤは日本が誇るブリヂストン製
と言っても、ガチガチに硬いモノでは公道を走行するのに適さない。乗り味も平均値でほしい。さらにいうと、スペアタイヤやパンク修理キットは、このようなクルマな以上、限りあるスペースなのでできれば省きたい。
ということでレヴェルトには、パンクしても80km/hの走行が可能なランフラットタイヤ(以下:RFT)を採用。それが、専用開発となっているブリヂストンのポテンザスポーツである。
ランボルギーニ・レヴェルトが採用するポテンザ・スポーツ画像はこちら
サーキットに限らず、我々レーシングドライバーがクルマに求める要素は何かといえば、操作したことがいかに忠実にクルマの動きに反映されるかである。もちろん、高い速度を維持したまま曲がれるか、コーナリング速度をいかに高く保てるのかも重要項目だ。
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高速直進安定性が高く確保されていることも基本中の基本である。でなければ安心してステアリングを切り込むことはできない。
レヴェルトに限らずランボルギーニのRWD、4WDには片手を添えているだけでも矢のように直進する特性があり。それはランボルギーニの美点である。
グランドスタンド前のストレートも、スプーンカーブを立ち上がってからのバックストレッチを7速全開で駆け抜けるときも、ステアリングは左右に振られないよう手を添えて抑えているだけ。シャシー、サスペンション特性、空力特性に見合うレヴェルトの走りを、足もとを支えるポテンザスポーツが異次元の安定感に導いているともいえる。
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S字コーナーの切り返しをややオーバースピードで進入して大きめの舵角を与えてみる。すると、無理にこじられ捻じ曲げられたフロントタイヤにグリップ変化は感じられず、与えられた舵角に従うように引っ張られるかのように曲がる。つまり、曲がり過ぎるのだ。
通常この場合、リヤタイヤにグリップ変化を招き、挙動が乱れても不思議ではないほどのアクションだが、そこは空力を含めたシャシー性能の高さ、アクセルを踏み続けることでフロントが駆動して引っ張り、しかも曲げる方向に導くのだから、ドライバーは自身の腕が上がったと勘違いしそうなほど、サラリと自然な姿勢変化でコーナーを立ち上がれてしまう。これは驚異的だ。
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こちらとしては、タイヤには無理難題を与えているハズだが、このパフォーマンスは末恐ろしい。レヴェルトにどのようにポテンザスポーツをマッチさせたのかを関係者に尋ねると、イタリア・ローマにあるブリヂストンの開発部隊から以下のような回答が届いた。
「このタイヤは、レヴェルトのプロトタイプの開発と並行して行い、トレッドパターンや専用コンパウンドを通じて、トルクベクタリングやモーター駆動からくる、一瞬の高トルクに対応できるよう、タイヤの特性を調整し、仕上げています」
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空気が抜けてもクルマを支える、サイド補強ゴムによるRFTは、突起の乗り越えで硬さを感じるものだが、乗り味に関してはたとえばコーナーの縁石を直線的に踏み越えるなどしても、RFTだと知らされなければ、標準タイヤと変わらない乗り味のレベルに抑えたところも高く評価できる。
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レヴェルトの高いコーナリング性能と超高速操縦安定性。引き戻されたかのような急減速を可能にする、超強力なブレーキ性能は、可変するリヤスポイラーによる空力バランス効果も加わり、驚くほどよく止まる。
ちなみにこのクルマの初試乗は、2024年の夏の富士スピードウェイだった。0-100km/h 2.5秒の超絶な加速性能と試乗では最高速350km/hで走る試乗会とあって、タイヤの摩耗、とくにサーキットではショルダー部の偏摩耗が気になるが、ショルダーもトレッド面の減りも偏りのないキレイな状態であった。トルクベクタリングと4WSが操縦性とともにタイヤにも優しいことを、このとき確認している。
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このときの富士の路面はウエット状態であったが、高次元のウエット性能も謳うポテンザ スポーツのポテンシャルは体感済みだ。
レヴェルトは手軽に超高性能を引き出せてしまう。「一般道でそれはどうなのか!?」ともいいたくなるが、ドライバビリティやポテンザスポーツの本当の意味での乗り味確認も含めて、公道試乗をしたいと切に願う。ランボルギーニの最高峰は、このクラスに慣れている者も引き込む魔力のもち主である。
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