この記事をまとめると
■ノスタルジック2デイズに老舗「スターロード」が出展
■S30Z用のアルミ製外板パーツをもち込んで展示していた
■市販化目前となっており愛好家たちの間で話題となっている
旧車乗りが夢にまで見たパーツを開発
国産車で初めてアルミ製のボンネットフードを採用したのは1985年に発売された「マツダ RX-7(FC3S型)」です。その後には前人未踏のオールアルミ製ボディを引っさげて「ホンダ・NSX」がデビューします。
今ではスポーツ系の車種の多くやプリウスにもアルミ製の外板パネルを採用して一般化していますが、2000年くらいまではまだまだ特別な装備でした。
ホンダNSX(NA1)画像はこちら
2025年2/22〜23にパシフィコ横浜で開催されていた「ノスタルジック2デイズ」を見てまわっていた際、アルミとは無縁の旧車、「S30系フェアレディZ」の外装に、アルミ製のパネルを装着した車輌を発見して驚かされました。
ここではその、アルミ製の外板パーツの製品化を実現してしまった旧車専門ショップの「スターロード」と、そのデモカーである「S30系フェアレディZ」を紹介していきます。
■アルミ製外板パネルを製品化してしまったショップとは
旧車の外板は、鋼板と呼ばれるスチールの板でできています。凹んだり穴が空いたりした場合は、叩いたり溶接したりして補修しますが、手間を惜しんだり、あるいは軽量化の目的でFRPなどの樹脂製パネルと交換するケースもあります。しかし、これまでアルミ製の外板パネルを製品化した例はほぼありませんでした。
そんな前代未聞のことをやってのけたのは、東京の葛飾で旧車専門ショップを営む「スターロード」です。
アルミの製品を紹介する前に、この「スターロード」がどんなショップかを紹介しておきましょう。
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「スターロード」はかつて、旧車のレストアや鈑金補修などを主におこないつつ、代表の井上氏のセンスでカスタムを加えて仕上げることを得意としていました。
専門誌などにも多く取り上げられ、その仕上がりの丁寧さと、カスタムのセンスは定評がありました。
そんななかで、アイディアマンでもある井上氏の思いつきと、お客さんの要望などもあって、独自の製品を生み出して販売するようになります。
なかでも、コストパフォーマンスに優れるS30フェアレディZ&ハコスカ用の車高調ダンパーキットや、吊り下げ式のクーラーキット、オリジナルデザインのアルミホイールなどは旧車ユーザーに好評で、看板商品となっています。
そのほかにも、アルミ製大容量ラジエターや低抵抗オルタネーター、LEDランプバルブキットなど、旧車のオーナーに響く製品を数多くリリースしています。
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また外装カスタムの面でも、オリジナルのグリルキットやオーバーフェンダーなどの製品を意欲的に生み出していて、その代表作といえるのが、展示していたデモ車輌に装着されている「ファイター」キットでしょう。
旧車の楽しみ方は人それぞれですが、「せっかく旧いクルマを楽しむなら、当時の姿や文化を大事にしよう」という風潮が主流で、そのセオリー的な枠から外れることをあまり歓迎しない空気があります。
しかしこの井上氏は型破りな性格で、そんな風潮には囚われません。自分の信じた格好よさを追求したいという情熱を原動力に、これまでにない雰囲気のワイドボディキットを作り上げました。
その前例のないデザインは保守層に戸惑いを与えた部分もありましたが、新しいものを歓迎する感覚の人や、海外の旧車好きには熱烈に受け入れられました。
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そして、この「ファイター」キットがただのハリボテではないことを証明するため、数年前からサーキットなどのクローズドコースでのタイムアタックをおこなっています。
そのためにエンジンは、クランクやピストン、カムシャフトなどスペシャルパーツを組み込んだフルチューンの“L28改3.2リッター”を搭載。おそらく320馬力以上は出ているとのこと。
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足まわりは特注のスプリングをセットしたオリジナルの車高調ダンパーキットを装着しています。ブレーキも自社の製品で抜かりなく強化し、仕上げにオリジナルの「グロースター」ホイールです。
昨年末におこなわれた筑波サーキットのタイムアタックイベントでは、新製品(プロト)のアルミ製外板パネルを装着して初の公式アタックをおこないましたが、ちょっとしたミスで満足な走りがおこなえず、目標の1分フラットにあと1歩届かなかったそうです。
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