スモールプレーヤーであるマツダがとるのは「ライトアセット戦略」
今回の発表においても「既存のマツダ車オーナーの方が、購入検討できるような価格帯でローンチしたい」といった旨の発言があった。EVの価格は同クラスのエンジン車に比べて高価な印象もあるが、マツダは手の届くEVにすることを目指している。
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しかしながら、手の届くモデルを量産するにはコストダウンは必須だ。2024年実績で年間120万台規模のスモールプレーヤーであるマツダにはスケールメリットも期待しづらい。はたして、どのようにしてコスト問題を解決していくのだろうか。
それこそが、今回発表した「ライトアセット戦略」である。スケールメリットを活かした物量作戦で新技術を開発するのではなく、効率性と柔軟性を兼ね備えた開発体制を確立することがポイントとなる。
2015年から実施している「ものづくり革新2.0」の効果も合わせて、開発生産性を3倍にすることが可能になっているという。そうであればこそ、マツダのような小さなメーカーが、同じタイミングで新エンジン+新ハイブリッドシステムとEV専用プラットフォームのニューモデルを開発することが可能になるのだ。
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生産体制についてもフレキシビリティを確保、エンジン車とEVをスムースに混流生産できる技術を開発したという。つまり、EV専用に設備を一新しなくても済むというわけで、これにより初期投資85%減、量産準備期間は80%短縮できるという。開発工程においても工数を半減できるというから、こちらも大幅なコストダウンにつながるのは間違いない。
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このように技術を積み重ねることで、マツダは小さな自動車メーカーながら、正解の見えない電動化時代においてマルチソリューションを実現するというわけだ。こうした戦略を現実化する背景には、マツダには「目先のソリューションではなく、原理原則を考える」という社風があるからだろう。
2030年にはEV生産能力40万台、工場稼働率100%を目指したいという話もあった。工場稼働率100%となると、マツダの年間生産台数は160万台となり、EVの生産能力はそのまま販売台数の純増になる計算が成り立つ。
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そこまで高い目標を実現するのはけっして簡単な道ではないだろうが、確実な未来が見えない電動化時代だからこそ、マツダの鍛えてきた柔軟性ある「ものづくり」が成果につながる時代になっているのかもしれない。