この記事をまとめると
■丸型が基本だったステアリングだが最近では異形も増えてきた
■D型と呼ばれるステアリングはメーターの視認性と操作性を重視した結果から生まれた
■運転の感覚に違和感を覚える人もいるので一部車種では引き続き丸型を採用している
異形のステアリングが増えつつある
ステアリングホイールの形状は、以前は丸型だったが、最近は異形タイプも増えた。もっとも多い形状はD字型だ。ステアリングホイールを直進状態にしたとき、下側が平らになるのが特徴だ。
このようなD字型ステアリングは、以前は天井の低いスポーツカーで使われた。ステアリングホイールの取り付け位置も低いから、丸型ではドライバーの大腿部に接触する場合もある。そこでステアリングホイールをD字型にして、大腿部との干渉を防いだ。
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ところがいまはコンパクトカーのノートなどもD字型を採用する。ノートのステアリングホイールの取り付け位置と着座姿勢を考えると、ドライバーの大腿部に干渉することはない。それなら、なぜD字型なのか。開発者に理由を尋ねると以下のように返答された。
「いまは燃費性能や運転支援機能の作動状態など、メーターパネルに表示する情報が大幅に増えた。そうなるとステアリングホイールのサイズを拡大して、内側に収まるメーターパネルの視認性を向上させたい。しかし、単純に丸型ステアリングホイールを拡大すると、大径になって操舵感が悪化する。そこでメーターパネルに干渉しやすいステアリングホイールの上側は大径にして、下側は平らなD字型にすることで、メーターの視認性と操舵感を両立させている」
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そして、異形ステアリングホイールには、D字型に加えてオーバル型もある。直進状態で、ステアリングホイールの上側と下側の両方が平らになる。このタイプはメーターを高い位置に装着した車種に多く採用されている。メーターが高い位置にあると、丸型ステアリングホイールでは干渉して視認性が悪化するから、上側も平らにした。オーバル型は、ステアリングホイールのサイズは小さいが、中央のパッドに十分な面積があるため、クルーズコントロールのスイッチなどを内蔵しやすい。
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ただし、D字型、さらにオーバル型になると、ドライバーによってはステアリングホイールを操作したときに違和感が生じる。運転に自信のないドライバーほど、違和感が強まりやすい。
いまの日産車はD字型を積極的に採用しているが、デイズやルークスなどの軽自動車は、運転が苦手と感じるユーザーも多いことから一般的な丸型とした。
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ドライバーがステアリングホイールやペダルを操作しにくく感じると、正確な運転がしにくくなり、交通事故に繋がる危険も生じる。ステアリングホイールの形状も、さまざまなユーザーが運転することを考慮して決めねばならない。