この記事をまとめると
■近年はブランドロゴをフラット化するメーカーが多い
■ブランドロゴをフラット化する理由はスマホでも見やすいから
■リブランディングをわかりやすくアピールする手法としてもフラットロゴは有効だ
スマホで表示されたときに見やすいからロゴをフラット化
2025年2月、マツダが東京・南青山に「MAZDA TRANS AOYAMA」なるブランド発信拠点を新設した際、「マツダのロゴがフラットになっている!」と話題になった。たしかに、同拠点の2階に掲げられている大きなマツダのロゴは既存タイプと異なりフラットデザインになっている。
こうしたロゴのフラット化は珍しいことではない。国産メーカーでいえば日産がフラットロゴに変えているし、海外ではフォルクスワーゲンやジャガー、ランボルギーニさえフラットロゴ化している。
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はたして、ロゴを変更する意味や狙いはどこにあるのだろうか。
冒頭で触れたマツダの場合、従来の立体的なロゴは残したまま、フラットロゴを新設したカタチとなっている。その狙いについて質問したところ、「フラットロゴはデジタル向けです」といった回答があった。
これは世界的なフラットロゴの流れにおいても同様だ。
いまやスマートフォンは生活に欠かせないデバイスとなっており、ユーザーは自分に必要なアプリをインストールして利用するカタチになっている。自動車メーカーとしてもユーザーとのタッチポイントとしてアプリを開発することは必須であるし、車両とつながるアプリも多い。
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そしてスマホの画面に並ぶアイコンのなかで、ブランド価値を明確にアピールするには視認性の高さが求められる。デジタル時代には、シンプルでフラットなデザインのロゴが適切であり、各社はそこに対応してフラットロゴに転換していると理解できる。
ただし、マツダが立体ロゴとフラットロゴを併用するのは、クルマには従来どおりに立体的なロゴを使うことが適切と考えているからだ。
マツダのブランドエンブレム画像はこちら
ただし、「クルマには立体的なメッキ仕上げのロゴが似合う」というトレンドも変わりつつある。日産のようにフラットロゴにすると、フロントグリルのロゴを光らせるデザインが似合うようになる。
フロントグリル中央につけられるロゴについては、その部分が先進安全機能のセンサーとして使われるミリ波レーダーの最適な場所になることも多い。ミリ波レーダーの機能をスポイルしないためにはフラットでレーダーが透過する素材にする必要があり、フラットなロゴのほうがデザイン的にマッチングがよいことも多い。
また、ジャガーが新しくデジタル向けのロゴに変えた背景には、同社が電動化シフトすることを表現している部分もある。リブランディングをわかりやすくアピールする手法としてもフラットロゴは有効といえるだろう。
ジャガーのブランドエンブレム画像はこちら
電動シフトとの関係でいえば、ホンダが電気自動車向けに、まったく新しいフラットロゴを生み出したのも同様といえる。その上で、ホンダの場合はルーツであるT360に使われていた初期Hマークの要素もフラットロゴに含めることで、新しさとヘリテージを同時に表現しているのも見逃さないポイント。
EVシフトに伴って勢いを増す新興メーカーに対して、伝統の価値をアピールすることも、既存ブランドのフラットロゴ・デザインにおいては重要といえそうだ。