平成初期の若者がうらやましすぎる! 90年代スポーツがいま見返すとバーゲンプライスラッシュだった (2/2ページ)

90年代はバーゲンプライスなクルマが溢れていた

●スバル・インプレッサ WRXシリーズ (GC8)

・生産期間:1992年11月~2000年7月
・当時の新車の価格:112.9万円〜259.8万円
・中古車の平均価格:184.6万円(モデルトータル)
・中古車の価格帯:90万円~349.8万円(モデルトータル)

 大ヒット作となったレガシィの実質的な弟分として、1992年11月にデビューした「インプレッサ」。トップグレードの「WRX」は、三菱ランサーエボリューションのライバルとして、ロードカー、そしてラリーの世界で切磋琢磨していくこととなります。水平対向4気筒1.5リッター、1.6リッター、1.8リッターのほか、WRXには2リッターターボエンジンが搭載され、最高出力240馬力は、当時の2リッタークラスにおいてかなりのハイパワーモデルだったのです。スポーツマフラーに交換するとボクサーエンジン特有の音色がさらに強調されて胸熱だった……と、当時を懐かしむクルマ好きがいるはず。

●三菱FTO(DE3A)

・生産期間:1994年10月~1999年12月
・当時の新車の価格:166万円〜239.7万円
・中古車の平均価格:141.4万円
・中古車の価格帯:98.9万円~199万円

 FLYING KIDSの「セクシーフレンド・シックスティーナイン」がCMソングとして起用され「かなりキテール カンジテール ナイスボディーはオレのモノ」の歌詞が鮮烈だった三菱FTO。最高出力200馬力・2リッターV6のMIVECエンジン(直4エンジンも設定あり)、ポルシェ911(964型)にも採用され話題となったティプトロニックを想起させるINVECS-II スポーツモード4速AT(5速MTもあり)、リヤにマルチリンクサスペンションを採用するなど、FFスポーツクーペとして人気を博した三菱の意欲作。曲線基調のデザインはまさに「ナイスボディーはオレのモノ」だったのです。

●トヨタ MR2(SW20)

・生産期間:1989年10月~1999年10月
・当時の新車の価格:182万円〜277.8万円
・中古車の平均価格:243万円
・中古車の価格帯:70万円〜624.1万円

 2代目MR2として1989年10月にデビューした「SW20型」。搭載されるエンジンは、2リッター直4NAおよびターボの2種類。トランスミッションは5速MTと4速ATが用意されました。じつは、当時のトヨタはMR2をスポーツカーではなく「スポーティコミューター」と位置づけていたのです。とはいえ、ユーザーがこのクルマに求めがちなのはミッドシップモデルならではの走行性。トリッキーだった初期モデルの足まわりをデビューから2年後のマイナーチェンジで大幅改良。1997年12月に行われた最後のマイナーチェンジを含めると、少なくとも1型〜5型までの仕様が存在するほどさまざまなアップロードが行われたモデルだったのです。

●マツダ・ユーノスロードスター(NA6CE)

・生産期間:1989年9月~1997年12月
・当時の新車の価格:172万円〜216.2万円
・中古車の平均価格:179万円
・中古車の価格帯:49.8万円~586万円

 映画ロボコップの劇中のセリフを引用するなら、「大きいことはいいことだ」った1990年前後。つまりバブルの時代。1.6リッターエンジンを搭載した2シーターオープンスポーツカーが、マツダからデビュー。これには当時のカーメディアも大絶賛。ユーザーもいち早く手に入れるために、開店前のディーラーに並んだといった逸話があるほどの大ヒット作となったユーノスロードスター。間違いなく日本人にとってオープンカーを身近にした”功労車”といえます。若者だけでなく、お父さん世代にも売れに売れて、当時の軽井沢はユーノスロードスターだらけになったとか。こんな魅力的なクルマが200万円前後で売られていたなんて……。

●大卒の初任給の推移と普通車の首都高の料金の推移

 参考として、上記のクルマがデビュー、現役モデルとしてバリバリだった頃の大卒の初任給の推移と、普通車の首都高の料金の推移をまとめてみました。

◎大卒の初任給の推移(出典:年次統計/厚生労働省)

・1989年(平1年):160,900円
・1993年(平5年):190,300円
・1998年(平10年):195,500円
・2003年(平15年):201,300円
・2008年(平20年):201,300円
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・2015年(平27年):202,000円
・2016年(平28年):203,400円
・2017年(平29年):206,100円
・2018年(平30年):206,700円
・2019年(令和1年):210,200円

 近年は初任給の引き上げが著しく、2024年度の大卒の初任給は約24万円といわれています。20年以上、ジリジリとしか引き上げられなかった初任給がここ数年で一気に数万円単位でアップされたことになります。喜ばしいことである反面、複雑な思いの人も少なからずいるのではないかと推察します。筆者は「ロスジェネ世代」真っ只中なんですが、こればかりはどうしようもないですし……。

◎普通車の首都高の料金推移(東京線/2012年以降は埼玉/神奈川も含む)

・400円(1980年2月〜1985年1月)
・500円(1985年1月〜1987年9月)
・600円(1987年9月〜1994年5月)
・700円(1994年5月〜2011年12月)
・900円(2012年1月〜2014年3月)
・930円(2014年4月〜2016年3月)
・1300円(2014年4月〜2019年9月)
・1320円(2019年10月〜2022年3月)
・1950円(2022年4月〜)

 現在ほど道路が整備されていなかったとはいえ、バブル期には1000円でおつりがくるほどの料金設定だったことがわかります。ただ、料金が900円に引き上げられた2012年のタイミングで距離制が導入されたため、下道が混んでいる区間のみ首都高でワープなんて使い方をすれば、900円以下で済むようになりました(ただしETC車限定ですが……)。

●まとめ:せっかく新社会人の初任給が上がってきたことですし……

 いまの時代を憂いで「あの時代はよかった」と嘆いてもはじまりません。とはいえ、当時の若者が新社会人としてデビューしたばかりでも、オトコの60回ローンを組んで、いまでは信じられないような高い金利を払ってでも新車が買えたことは事実。

 ようやく新社会人の皆さんの初任給があがってきたことですし、「新社会人限定! お得なプランで購入キャンペーン」とか、いかがですか? 各自動車メーカーおよび販売店さん!


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松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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