
この記事をまとめると
■春になるころはスタッドレスタイヤから夏タイヤに履き替える人が増える
■ホイールナットやハブボルトのトラブルが春は発生しやすい
■50〜100kmほど走ったら規定トルクで増し締めなどしてチェックするのが重要だ
ホイールナットのトルク管理は入念に
春分の日を過ぎれば本格的に冬もおしまい。地域によってはスタッドレスタイヤから夏タイヤへ履き替えるところも出てくるころだろう。
こうしたタイヤ交換の時期に忘れてはならないのが、タイヤ交換後、しばらく走ってから行うホイールナットのトルクチェック。ホイールナットは規定どおり、正しく取り付けたとしても、初期なじみによる締付け力の低下が起こることがわかっている。
国土交通省の調べによると、毎年、冬用タイヤ交換後1カ月以内に、ホイールボルトの折損等による車輪脱落事故が集中していることが判明しているので、タイヤ・ホイールを脱着したら、50〜100km走行後を目安にホイールナットのトルクチェックを行っておくことはとっても重要だ。
なお、このときの増し締め(オーバートルク)にも要注意。
専用の工具=トルクレンチを使って、乗用車のホイールナットなら100~120Nmで、軽自動車なら80~100Nmでホイールナットを締める。
規定トルク以上で締め付けると、ボルトが伸びたりネジ山が潰れたりボルトが折れるというトラブルにつながるので、力いっぱい締めておけばいいというものではない。
むしろ、締め過ぎのほうがトラブルになりやすく、つい最近も筆者は近所の国道の道端で、ナットがついたままねじ切れたハブボルトを拾ったぐらいだ……!
また、ブレーキを多用したり、走行直後で、ブレーキやハブが熱くなっているときは、熱の影響でハブボルトが伸びやすくなっているので、トルクチェックもホイールやハブが冷えてからやるようにしよう。
前述のとおり、ホイールを脱着してから50~100km走行後に一度トルクチェックをしておけば、ホイールを外さない限り、あとは車検ごとにホイールナットのトルクチェックをするだけで基本的にはOK。
とはいえ、タイヤの寿命を考えると、5000kmごとにタイヤローテーションを行って、そのタイミングでホイールナットのトルクチェックをしておくのが理想的だ。
また、ホイールナットを締める際は、錆と汚れ、異物の噛み込みにも要注意。
ホイールナットを締める前に、ワイヤーブラシなどを使ってハブボルトやナットを綺麗にして、ナットもはじめは工具を使わず、締められるところまでは手でまわして締める。
そのとき錆などで、滑らかにまわらないボルトやナットがあれば、思い切って交換するようにしよう。塩カルなどを撒く雪国などでは、あらかじめ焼き付き防止の専用グリスをスタッドボルトに薄く塗布してからホイールナットを締めるのもひとつの手。
ボルトが錆びると、正確な規定トルクで締まらなくなるので、ナットを締める前に塗布しておくのがポイントになる。
ただし、二硫化モリブデンや一般的な潤滑スプレーなどはかえってゆるみの原因になるので、使用しないこと。