
この記事をまとめると
■クルマには極寒や豪雪に対応するための装備を追加した「寒冷地仕様」が存在する
■ホンダやスバルなど一部メーカーでは全車が寒冷地仕様相当の場合も
■寒冷地仕様は数万円程度のことが多く、場合によってはお得な選択肢ともなる
カタログでたまに見る「寒冷地仕様」って結局なに?
2025年の冬。雪国はもちろん、そうでない地域にも豪雪と呼べる雪が降り、生活や交通が大混乱した。そんなときには当然、クルマにもスタッドレスタイヤやタイヤチェーンの準備が不可欠になる。覚えておいてほしいのは、沖縄を除き、ノーマルタイヤで雪道を走ると法令違反になるということ。普通自動車の場合、6000円の反則金を支払わなければならない。
ところで、低温、積雪、凍結といった環境に対応する、クルマの「寒冷地仕様」があることをご存じだろうか。具体的には低温による影響を考慮したバッテリーやオルタネーターの大容量化、冷却水の凍結を防ぐ冷却水の高濃度化、ワイパーブレードの機能低下を防ぐワイパーモーターの強化、フロントウインドウディアイサーの採用、ヒーテッドドアミラーの採用、ウオッシャーノズルのヒーターの追加、リヤヒーターダクトの装備、凍結防止剤による錆発生を防ぐボディや下まわりのワンランク上の防錆処理、ディーゼル車のフューエルラインヒーター、エンジンルームアンダーカバーなどが、寒冷地仕様として追加採用されることが多い装備だ。
豪雪地域に居住するユーザーには必須の仕様ともいえそうな寒冷地仕様。しかし、ホンダ、マツダ、スバル、スズキなどにはそもそも寒冷地仕様という設定がなかったりする。つまり、全車が標準で寒冷地に適合する仕様となっているわけだ。
スバルのような雪国で定評ある車種がウリのメーカーならなんとなく理解できるのだが、たとえばホンダの場合でも「寒冷地にもご利用頂ける仕様となっておりますので、とくに設定はございません」と案内される。SUVだけでなく、シビック、フィット、フリード、N-BOXまで、全車において寒冷地仕様の用意はないのである。
ここでホンダ各車とおなじく寒冷地仕様をもたないスズキ・ハスラーの装備を確認してみると、全グレードでシートヒーター、ヒーテッドドアミラー、リヤヒーターダクトが標準装備されていて、そのほかの部分も寒冷地に対応する仕様になっていた。
いっぽう、寒冷地仕様を用意しているトヨタの例では、メーカーオプションの寒冷地仕様を選ぶと、クオーターパネル下部の耐チップテープ、エンジンマウンティングトルクロッドカバー、LLC濃度50%の冷却水、高遮音性ウインドウシールドガラス、タイマー付きリヤウインドウデフォッガー、ウインドウシールドディアイサー、クオーターストーンプロテクター、フェンダープロテクター、寒冷地用ワイパーモーター、電気式補助ヒーター、ヒーターリヤダクト、容量UPのバッテリー・スターターなどが追加装備されることになる。
さらに、上記の以外のおすすめ装備としてリヤフォグランプ、ウインターブレードが販売店オプションとして用意されている。
ちなみに、寒冷地仕様のオプション費用であるが、じつはわずか数万円ということが多い。内容からすればかなりおトクともいえる。温暖な地域に住んでいるユーザーでもウインタースポーツを楽しむため雪国へとドライブする機会が多い、実家が雪国……というなら、財布と相談して寒冷地仕様を注文するのもアリな選択肢だ。