
この記事をまとめると
■三菱ランサーエボリューションとスバル・インプレッサWRXはライバルとして比較される
■ランエボとインプは2リッターターボを搭載する4輪駆動車だが走りの特性が異なる
■駆動力勝負の場面ではインプが強いが旋回性ではランエボに長がある
4WDの曲がりにくさをセンターデフで解消
エンジン排気量が2リッターでターボ過給を備え、4輪を駆動する4ドアセダン車。そんな括りでは三菱ランサーエボリューション(ランエボ)とスパル・インプレッサWRX(インプ)は同じカテゴリーに類別される。
グループAでWRC(国際ラリー)が競われた時代、国内スーパー耐久レースの2クラスにおいても、両車はよきライバルとして熱戦を繰り広げた。似て非なる両車を乗り比べると、思っている以上に乗り味の違いがあることに驚かされるだろう。ここではとくにサーキットでの走行領域における両車の走行特性の違いについて述べていこう。
ランエボのパワートレインは2リッター直4ターボエンジンをフロントに横置きし、センターデフを介して後輪へも駆動力を配分する。世代の違いはあるが、基本的には同じレイアウトをとっている。インプはというと、2リッター水平対向ターボエンジンをフロントに縦置き。同じくセンターデフから後輪に駆動力を引き出す。エンジンを縦置きとしたことで車両左右の重量配分が均等になり、シンメトリーバランスと謳われスバル車の走りを特徴付けている。
車両を横から見てみると、ランエボはエンジン長が短く、オーバーハング重量が小さいが、重心が高くなりブレーキングなどでピッチンを起こしやすい。
対してインプはエンジン搭載位置が低く重心は低いが、前輪車軸より前に2気筒分のエンジン長があるのでオーバーハング重量が大きい。また、エンジン前端を持ち上げ後傾させて搭載する必要がある。これはオイルパンと地面とのクリアランスを確保し、エキゾーストマニホールドの配管にも配慮しつつ、クランクシャフト出力位置をトランスミッション軸に合わせる必要もあるからだ。
上からみるとインプが理想的に見えるが、横から見ると両車に一長一短があることがわかる。
4WDは曲がりにくい、という特徴はセンターデフを備えることでほぼ解消できる。しかし、サーキットでパワーをかけながら旋回加速するとき、センターデフフリーの状態ではトラクションが最大限引き出せず、ランエボはACD(アクティブセンターデフ)で、インプはDCCD(ドライバーコントロールセンターデフ)を装着してLSD効果をもたせている。その制御の仕方に差があり、それがランエボとインプの走りの違いを際立たせているといえる。