F1の名門ウィリアムズの名前がついたルノー車があっただと!? 本物の激速ハッチバックだけど「ウィリアムズ」は一切開発に関与していないかった (2/2ページ)

ラニョッティによるキレキレの走りに歓喜

 クリオ16Sというそれまでのホットモデルをベースにしているものの、エンジンは2リッター(F7R型)へと増量され、バルブサイズ、カムプロフィール、クランク、オイルクーラーに至るまで専用設計とされています。その結果、1.8リッター16バルブに比べ12馬力アップの150馬力/6100rpmを発揮することになり、0-100km/h加速は7.8秒、最高速度215km/hといまでも魅力的なパフォーマンスといえるでしょう。

 また、クリオ・ウィリアムズの魅力は速いエンジンだけにとどまるものではありません。クリオの上級モデル、ルノー19シャメード(メガーヌの先代モデル)から足まわりを流用し、よりキャパシティが増やされ、またブリスターフェンダーの採用でわかるとおり、トレッドも広げられたのです。ここに、ルノー・スポールのノウハウが注がれると、滑らかに路面をトレースし、懐の深い乗り心地を実現。ターンインはシャープながら、終始インフォメーションに富んだコーナリングで、ここに惚れ込んだ業界人は少なくありませんでした。

 本国では1993年に3800台が発売されましたが、日本では並行輸入のみ(フランスモーターによって10台程度が試験的に輸入されたという説もあり)ですが、そこそこいいお値段にもかかわらず、入荷即完売という状況がしばらく続いていたように記憶しています。

 記憶といえば、フランスの職人ドライバー、ジャン・ラニョッティが駆るクリオ・ウィリアムズの速かったこと、カッコよかったことといったらありません。ストレートパイプの快音を響かせ、究極ともいえるFFの動きを見せる爆走はシビれること請け合いです。彼は5ターボや5アルピーヌでのレースも目覚ましいものがありますが、個人的にはクリオ・ウィリアムズでのレースこそベストバウトな気がしてなりません。

 ウィリアムズのブルーをまとったボディこそイメージカラーとして登場していますが、いま乗るならラニョッティが乗ったワークスのDiacシルバーもいい雰囲気かと。

 とはいえ、前述のとおり並行モデル、しかも少数の上陸なので中古車を見つけるのはさほど簡単ではないかもしれません。トータルでは1万2000台といわれますが、やはり世界的にコレクターズアイテムと化しているようで、ミントコンディションなら300万円は下らないでしょう。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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