それぞれが個性的なパッケージングで勝負
ところで、アウトドアなどにも使いやすいクロスオーバーSUVに、室内やラゲッジルームの広さを期待して当然。そこで身長172cmの筆者のドライビングポジション基準による各車の後席の頭上&膝まわり空間、ラゲッジスペースの寸法を紹介したい(全車、前席居住空間に不満があるはずもない)。
まずはフロンクスだが、クーペスタイルゆえに後席頭上は105mmとそれほどの余裕はないものの、膝まわり空間は210mmと十二分。ゆったりと足が組めるほどである。
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ラゲッジルームは奥行650mm、幅1010~1320mm、高さ675~840mm(ラゲッジボードの使用有無による)。重い荷物の出し入れ性にかかわる開口部地上高は810mm、開口部段差140~285mm(ラゲッジボードの使用有無による)。
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WR-Vは後席頭上に160mm、膝まわりに240mmと、さすがパッケージングの鬼のホンダ車らしいゆとりがある。しかもフロンクスにない(インド仕様にはある)後席エアコン吹き出し口を完備。2024年夏の酷暑の季節に後席に乗車する乗員にとっては嬉しく快適な装備といえる。
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ラゲッジルームは奥行840mm、幅1015~1340mm、高さ870~930mm。重い荷物の出し入れ性にかかわる開口部地上高は730mm、開口部段差130mm。低全高&クーペスタイルのフロンクス、ヤリスクロスに比べ、ラゲッジルームのゆとりは明らかといっていい。WR-Vの売りのひとつがこのラゲッジルームの大容量でもあるのだ。
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もっともコンパクトなヤリスクロスはといえば、後席頭上に120mm、膝まわりに115mmと、前席優先のパッケージであることがわかる。後席の居住性を重視するなら、WR-Vかフロンクスということになるだろう。
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ただし、筆者がヤリスクロスの後席に座ってみると、シート位置がフロアから高めにセットされ(ヒール段差380mm)、アップライトかつ自然な姿勢で座ることができ、前方見通し性に優れ、前席下の足入れスペースも十分にあり、何よりもシートクッション長が約500mmと前席並みにたっぷりあるため、ゆったりと座れ、窮屈感を感じにくいという印象がもてるのも本当だ。居住感覚の良否は数値だけではないということでもある。
ラゲッジルームは脱着が可能かつ、超便利な2段デッキボード下位置で奥行790mm、幅995mm、高さ710mm。開口部地上高745mm。奥行でフロンクスに勝り、幅と高さでフロンクスに譲るというイメージだろうか。
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こうして、いまをときめく3台のコンパクトクロスオーバーSUVを比較してみると、さまざまな見方が出てくるはずだ。
クーペライクなスタイリッシュさと装備の充実度、走破性(4WD)で選ぶならフロンクス、リーズナブルな価格設定と後席&ラゲッジルームのゆとりならWR-V、燃費性能抜群(30.8km/L~)のストロングハイブリッド狙いでAC100V/1500Wコンセントの装備や運転支援機能の先進性で選ぶならヤリスクロスのHV(走破性ではガソリン車の4WDが優位)……という選択基準もあるだろう。この3台で唯一のストロングハイブリッドにして243.32万円~というヤリスクロスHVの値付け、ストロングハイブリッドならではのEV走行比率の多いスムースで静かな走行性能も注目に値する。