開発車両ながら乗り味も高い完成度
実車を見ると、前後シンメトリーの車体デザインや、塗装を省くことのできる色付き樹脂のボディカウルといったデザインはコストダウンのためだが、中身は本格的なモノコックフレームとなり、強度・剛性と軽さの両立を狙っている。さらにウインドウの一部をポリカーボネートにするなどして430kgという軽量なボディを目指しているという。
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というわけで、現時点で量産仕様の「mibot」は存在しない。今回は、開発の第2ステージで試作されたT1車両に試乗するという貴重な機会を得たので、その印象を報告しよう。
試乗したのは自動車教習所の教習コース。多くのドライバーが教習時に苦労した記憶もあるだろうクランクや坂道発進といったシチュエーションも試したが、非常にコンパクトなボディもあって、初見でもキビキビと走ることができた。
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ブレーキはブースターがないタイプだが、軽量なボディなので踏力が重いという感じはない。むしろ、回生ブレーキが強めのセッティングで、停止以外はワンペダルで運転できるのはEVらしい気もちよさにつながっている。ちなみに、フロントはディスクブレーキ、リヤはドラムブレーキとなっていた。
ステアリングもアシストなしのタイプ。タイヤが145/70R12というひと昔前の軽自動車サイズということもあり、据え切りでは重さを感じる場面もあったが、走り出してしまえばストレスを感じることはなかった。
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初期のプロトタイプでの走行実験の結果を受け、T1は足まわりのジオメトリーを見直したことで旋回時の安定性を高めているというが、たしかに30km/hでのコーナリングでもロールが気になることもなく、狙ったとおりに走ることができる。
ボディの中央に座るシングルシーターというレイアウトも含めて、想像以上にスポーツドライビングも楽しめそうだ。置き場所がクリアできるのであれば、都市部のユーザーが趣味的モビリティとして愛用するのも面白いかもしれない。
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楠さんによれば「mibotは基本を変えることなく10年20年と作るロングセラーにしたいと思っています。だからこそSDVとしてアップデートできることを考えているのです」という。
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つまり、初期タイプを手に入れたからといって、あとから「後期型まで待てばよかった」と後悔することはないだろう。「mibot」が気になるなら、早めにオーダーするのが吉といえそうだ。