毎日見ている道路の「白線」や「数字」のペイント! 施工方法に素材に滑りやすさまで「白線トリビア」をまとめたら奥深すぎた (2/2ページ)

交通の要であるがゆえに求められる要件は多い

■白線は何でできている?

 道路は重たいクルマやトラックが、グリップのいいゴムのタイヤで走っているため、摩耗しにくい素材である必要があります。そして紫外線やオイルなどへの耐性と変色しにくさ、夜間での視認性向上など、求められる要件はけっこう多いのです。

 線や文字などの単純な標示は「ペイント式」と「溶融式」と呼ばれる2種類が使われています。工事現場を通る際に施工のようすを見たことがあれば、「ああ、あの湯気を立たせながら施工しているアレか!」と思い当たる人もいるでしょう。それが溶融式です。

 溶融式の素材は、色の発色をよくする顔料や反射材、摩耗しにくさをもたせる硬質骨材などの固定成分と、合成樹脂を調合した熱可塑性化合物でできています。反射材はほとんどが細かいガラスビーズで、夜にヘッドライトが当たると白線がキラキラ光るのはこのガラスビーズが光を反射させているおかげです。

「熱可塑性」というのは、常温だと固形ですが熱すると液状になる特性の素材で、湯気が立っているのはその熱を加えているためです。トラックに搭載した粉末状の材料を溶融釜に入れ、約180度に熱して液状にして、施工機で路面に一定の厚さで塗り重ねていきます。自然に温度が下がれば固形になり、路面に定着します。

 また、環境への影響が心配される区間では、影響が少ない水性の塗料が使われるケースも増えているようです。そこに使われるのがペイント式の塗料で、溶融式と同様の固定成分を水性の合成樹脂に混ぜたものです。そして、スクールゾーン標示などの、形状や色使いが複雑なものには「溶融シート」とよばれる手法が使われているケースもあるようです。これはあらかじめシート状に加工された溶融材を、路面に設置してバーナーで炙って定着させるというものです。

■白線の耐久性

 白線は施工したあと、どれくらいきれいな状態を保つのでしょうか? 先述のように素材もいくつかにわかれていて、交通量や降雪地域など、その負担の度合いによってけっこう違いますが、平均的な交通量の道では、溶融式の線の場合は約1年で摩耗の限界を迎えるというのが目安のようです。ペイント式の塗料の場合はその半分以下となっています。思ったよりも保ちはよくありませんね。

■白線の滑りやすさ

 余談ですが、オートバイ乗りの間では雨の日には白線に載らないように走るというセオリーがあり、白線=滑るというイメージが定着しています。水に濡れたときの摩擦の具合をあらわす値である「BPN」は、アスファルトだと40BPN~70BPN、いっぽうの路面標示用塗料では40BPN~50BPNとなっていて、数値ではあまり違いが見られませんが、これは施工直後の測定値のようで、摩耗が進んだ白線の場合は数値が低くなるため、滑りやすくなるということのようです。

 ちなみに、雨でもっとも滑りやすいマンホールのフタは、BPN値20BPN~40BPNとアスファルトの半分くらいだそうです。


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往 機人 OU AYATO

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