「70」だけではなく「74」や「75」もラインアップしていた
ここで注目したいのは、トヨタ流・車両型式の法則です。
車両型式の付け方はメーカーによって異なりますが、古くからトヨタが使っているしきたりは、「エンジンを示すアルファベット・車種を示すアルファベット・モデルを示す数字」を並べるというものです。最後のアルファベットは乗用や商用の違いを示しています。
トヨタの車両型式で、よく知られているものとしては、ネオクラシック世代のスポーツモデルとして人気のカローラ・レビン/スプリンター・トレノの「AE86」が挙げられます。これもAは1.6リッターの「4”A”-G」というエンジンに由来、Eはカローラ系であることを示すアルファベットで、86という数字は比較的パワフルなエンジンを積んでいることを示しています。
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トヨタの場合、フルモデルチェンジすると、二桁もしくは三桁の数字が与えられます。そして、下一桁の数字は基本となるグレードを「0」として、ハイパワーなエンジンであったり、ボディが異なっていたりすると、大きな数字を当てはめていくのが、ある種の伝統となっています。
ファンであれば、同じボディで1.5リッターエンジンを積んだグレードの車両型式はAE85であることをご存知でしょう。さらにマニアックな話をすると、レビンやトレノはFRでしたが、当時のカローラはFFにシフトしていました。1.3リッターのFFがAE80、1.5リッターのFFがAE81、1.6リッターのFFはAE82となっていました。
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ランドクルーザー70についても同様です。
たとえば2014年に再販されたときのラインアップは、バンとピックアップトラックとなっていましたが、車両型式は5ドアのバンが「GRJ76K」、Wキャブのトラックは「GRJ79K」でした。GRという2文字は搭載されたガソリンV6エンジンを示します。その次にくるJというアルファベットは初代から受け継ぐランドクルーザーシリーズを示すものです。76というのは5ドアボディで、79という数字はピックアップトラックといったボディ形状の違いを示していると理解できます。
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最新モデルの車両型式「GDJ76W」については4気筒ディーゼルのGD系エンジンを積んだランドクルーザー(J)で、76という数字から5ドアボディであると読み解けます。
なお、ランドクルーザー70シリーズについてはモデルとしての歴史が長く、ボディ形状や搭載エンジンも多彩なため、「BJ74V」や「HZJ77V」などさまざまな車両型式が存在しています。いずれにしても、数字の10の位をみれば70系であることは間違いなく、現行タイプについて、公式がランドクルーザー”70”と表記することは正当といえるのです。