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これってインプ……いやいやサーブです! スバリストなら逆にほしくなるサーブ9-2Xの正体とは

これってインプ……いやいやサーブです! スバリストなら逆にほしくなるサーブ9-2Xの正体とは

この記事をまとめると

サーブには「9-2X」というスバル・インプレッサをベースにしたモデルがあった

■サーブ9-2Xはフロントまわりのデザインが違うだけでほぼインプレッサそのまんま

■群馬工場で生産されたが北米輸出向けで日本国内への導入は叶わなかった

インプレッサをサーブに仕立てた知る人ぞ知るモデル

 いまはなきサーブという北欧の自動車メーカーは、日本において思いのほかファンが多いと思います。航空機メーカーからスタートし、合理的でありながら独自のパッケージやスタイリングを実現しており、メカ好きはもとより、見た目を裏切る走りのパフォーマンスで走り屋さえも魅了していたかと。最終的にはGMに買収されたあとにブランドは消滅してしまいましたが、とにかく惜しいことをしたものです。

 今回ご紹介するサーブ9-2Xは、そんな彼らの末期に生まれた変わり種。スバル・インプレッサを完コピせざるを得なかった悲哀のこもったモデルです。

 サーブにとって初の市販車は、設計番号「92001」にちなんで「92」と名付けられ、以来99や900、あるいは9-3などなど9にこだわった車名が付けられています。すると、9-2Xも正統的なネーミングではあるのですが、間にハイフンをはさむのはGMの資本が入ったあと、1990年以降のことというわけです。すでに、この当時からサーブは独自車種の開発からは手を引いており、シャシーはGMとこれまた提携関係にあったオペルのものを使用。ボディスタイル、インテリアなどでサーブのテイストを表現することに終始しているのです。

 やがて、2000年になってサーブはGMの傘下となり、完全子会社化されることに。穿った見方をすれば、それまでかたくななまでに守ってきた900のスタイリングを商品化するのが難しくなった、といえるでしょう。

 とはいえ、サーブは北米でもかなりの人気でしたから、GMは欧州のプレミアブランドとして販売そのものは継続したのです。ちょうど若者向けのスモールワゴンを企画していたGMが、サーブのエンブレムを選んだのもさほど無理はありません。

 で、ベースとなるクルマは、サーブと同じく資本提携していたスバルからピックアップ。ご覧のとおり、インプレッサスポーツワゴン(GG系)にほかなりません。

 2004年にLAのモーターショーで発表された9-2Xは、フロントまわりのデザインとインテリアの一部が違うだけでインプレッサそのまんま。

 もちろん、エンジンも共通で2.5リッター水平対向エンジンを搭載した「9-2X Linear(リニア)」と、2リッター水平対向ターボを積む「9-2X Aero(エアロ)」の2モデルをラインアップ。価格は2万2000〜3万ドル(当時のレートで約240万〜324万円)と、本家インプレッサよりバッジ代だけ高くしたという感じでしょうか。

 また、生産は群馬の工場で行われましたが、完全に北米輸出むけ。日本国内への導入は叶わなかったどころか、2006年を迎えたところで生産中止。これは9-2Xが不人気だったわけではなく、GMとの提携が解消されたこと(2005年)が大きな理由とされています。

 純粋なサーブのファンとしては、GM製サーブは眼中になかったかと思われますが、サーブの顔つきに魅力を感じていた方にとっては欲しくなる1台だったかもしれません。たとえ、道の駅で「これってインプレッサの魔改造ですか」と揶揄されたとしてもです(笑)。

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